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IPレピュテーションの基礎知識、メール到達率との関係を解説

Eメールは、多数の顧客へ効率よくアプローチできる仕組みです。しかし、プロバイダやキャリアが設定するメールフィルターの影響を受けやすく、顧客にメールが届かないことも少なくありません。そのため、規制をできるだけ回避し、高い到達率と送信速度を両立するメール配信システムが求められています。特にメール到達率は、IPレピュテーションの影響を受けやすく、IPレピュテーションのスコア維持・向上は、メール到達率の改善につながるでしょう。今回はIPレピュテーションの基礎知識とともに、メール到達率との関係性も解説していきます。

IPレピュテーションの仕組み

IPレピュテーションは、いわば「IPアドレスの評判や信用」です。該当するIPアドレスが、過去にどのような行動をとっているかを計測し、統計的にリスク評価を行った結果ともいえます。そのため、IPレピュテーション自体が何らかの「リスト」を持つわけではなく、膨大なデータから複数の要素を組み合わせ、スコアとして算出されるのがIPレピュテーションです。これは、メールの送信元がどれだけ信頼できるかを推し量るための指標といえるでしょう。

IPレピュテーションのスコア低下=「汚れたIPアドレス」

一旦スコアが低下したIPレピュテーションを元のスコアに戻すことは、非常に時間を要します。スコアが低下したIPアドレスを「汚れたIPアドレス」と呼ぶことがあります。

「汚れたIPアドレス」は、長期間使われていなかったり、DMZ内や外部向けサービスとして使われていたIPアドレスが該当しやすいと言われています。また、前所有者の行動履歴によって、既にスコアが低いIPアドレスを取得してしまうこともあるでしょう。

IPレピュテーションのスコアを再上昇させるためには、「一定期間、安定して使い続け、再評価の機会を待つこと」が大切ですが、何よりも重要なのは「スコアを低下させないように使い続けること」だと言えるでしょう。

IPレピュテーションとメール到達率の因果関係

IPアドレスの信頼性を担保するIPレピュテーションは、メールの到達率に大きな影響を与える要素です。取得したばかりのIPアドレスから送信したメールが、なぜかブロックされる……といった状況に陥らないために、因果関係をよく理解しておく必要があります。

IPレピュテーションスコア低下=メール到達率悪化

セキュリティソフトベンダーやインターネットサービスプロバイダ・携帯キャリアなどは、メール送信元IPアドレスのレピュテーションスコアをチェックしています。Return Path社の「Sender Score」、Cisco社「SenderBase」といった第三者の評価サービスが使用されることもあるでしょう。こういったサービスでスコアを下げてしまうと、メール到達率が著しく悪化するもとになります。出会い系サイトや違法なアダルトサイトへの誘導メールと同じく「迷惑メール、スパムメール」と見なされてブロックされるからです。

IPレピュテーションのスコア算出に使われる要素

IPレピュテーションのスコア算出は、様々なデータソースから収集した情報をベースに行われます。具体的には、以下のような情報が使われることが多いでしょう。

  • スパムトラップ(長期間使われていないメールアドレス)へ送信していないか
  • スパムレポート(有害なメールとしての報告)の有無
  • 安定したメール送信量があるか(突発的なメール送信量の増加が無いか)
  • メールタイトルや内容に、フィッシング詐欺、スパムメールで使用されるキーワードが含まれていないか
  • メールサイズ、添付ボリューム、ホスト名などが適切か
  • ウェブサイトの構成情報(ダウンロードファイルやURLリンク)
  • その他さまざまな要素(過去のメール送信履歴、サーバの物理的な場所、ドメインが登録されている期間、Webサイトが立ち上げられてからの期間など)

これら複数の要素を組み合わせ、プラス評価とマイナス評価を累積させた結果がIPレピュテーションのスコアになります。スコアが高ければメールが到達する確率は上がり、逆に低ければ何らかのフィルターでブロックされる可能性が出てきます。

IPレピュテーションスコアを確認する方法

IPレピュテーションスコアは、以下のようなWebサービスで確認できます。

SenderScore.org

米国のサイバーセキュリティ対策企業「Return Path社」が提供しているWebサービスです。IPアドレスやドメインを入力すると、IPレピュテーションスコアが100点満点で表示されます。一般的に80点以上であれば合格レベルと言われていますが、あくまでも目安です。

TalosIntelligence.com

世界最大手のネットワーク機器ベンダー「Cisco社」が運営するWebサービスです。IPレピュテーションを「EMAIL REPUTATION」から確認できます。スコアは「Good(問題ない状態)」「Neutral(使用できるが問題が発生する可能性あり)」「Poor(スコアが低くフィルタリングやブロックの可能性が高い)」の3段階で表示されます。

ReputationAuthority

WatchGuard社が運営するWebサービスで、レピュテーションのスコア(100点満点)や、メールの評価比率(GoodもしくはBad)を確認できます。

BarracudaCentral

Barracuda Networks社が運営するWebサービスで、IPレピュテーションとドメインレピュテーションを同時に確認できます。

TrustedSource

セキュリティソフトベンダーとしてお馴染みのMcAfe社が運営しています。レピュテーションスコアの他、DNS・メールサーバ情報・ドメインの履歴・有効性・関連性なども確認できます。

Postmaster Tools

Google社が運営するGmail上で提供されているサービスです。レピュテーションダッシュボードから、Gmail上のIPレピュテーションを確認できます。評価は「安全」「危険度:低・中・高」の4段階です。

メール到達率を意識したIPレピュテーション運用とは

高いメール到達率を維持するためには、以下のような対策が有効です。

・リストクリーニング(配信リストからエラーとなったメールアドレスを削除すること)

・なりすまし対策(SPFやDKIMなど送信ドメイン認証の使用)

メール到達率に重要な「SPF」と「DKIM」とは|ベアメールブログ

しかし、これらIPレピュテーションの維持管理には、相応のコストがかかります。自社サービス運用やメールマーケティング施策の立案などの「本業」が忙しく、IPレピュテーションの維持管理にまで手が回らない、という担当者は少なくないでしょう。そこで「メールリレーサービスの活用」をぜひ検討してみてください。

IPレピュテーションの維持管理が含まれているメールリレーサービスを活用すれば、管理コストを最小限に抑えつつ、メールの到達率の向上が可能です。

まとめ

本稿では、IPレピュテーションの基礎知識とメール到達率との関係について解説してきました。IPレピュテーションは、さまざまな評価指標によって複合的に判断されるため、信頼性の高いIPアドレスを維持するためには運用リソースだけでなく、専門的なナレッジやノウハウが必要です。一方、クラウド型のメールリレーサービスを使用すれば、IPレピュテーションの運用は不要な上、サービスが持つ信頼性の高いIPアドレスからメールが送信されるため、高いメール到達率が期待できます。

メールリレーサービス「ベアメール」は、長年培ってきたホスティング事業者としての知識やノウハウを活かし、メールの到達率向上のために日々チューニングを行っているメールリレーサービスです。お客さまが抱えるメールに関する負担を軽減し、コアの業務に注力していただくことが可能です。ぜひお気軽にご相談くださいませ。