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Last Updated on 2026.01.9
SMTPは「Simple Mail Transfer Protocol」の略で、メールを送信するために利用されるプロトコル(通信のルール)です。
本記事では、SMTPの基本的な役割をはじめ、SMTPを使ったメール送信の仕組み、POP/IMAPとの違い、さらにSMTPの技術的な課題と解決方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。メール配信に関する理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事は2026/1/9に内容を更新いたしました。
目次
SMTPとは?
PCとサーバー、あるいはサーバー同士が通信を行う際には、あらかじめ定められた「プロトコル(通信のルール)」に従ってデータのやり取りが行われます。メールの送受信においても複数のプロトコルが使われていますが、その中でメールの送信処理を専門に担うプロトコルがSMTPです。
まずは、SMTPの基本的な役割と、SMTPを使ったメール送信の仕組みを見ていきましょう。
SMTPの役割
SMTPは、テキストベースで設計されたシンプルなプロトコルで、インターネット上で電子メールを転送するために使用されます。
送信者がメールソフトやWebメールからメールを送信すると、まずSMTPサーバーと呼ばれるコンピュータがそのメールを受け取ります。SMTPサーバーは、SMTPのルールに従ってメールを中継し、宛先のメールサーバーへと転送していきます。
このように、SMTPはメール送信において重要な役割を果たしています。
SMTPを使ったメール送信の仕組み
では、実際にはどのような流れでメールが転送されているのでしょうか。ここでは、ユーザがメールを送信してから相手に届くまでの一連の流れについて解説します。
メール送信の基本的な流れ
- 送信者がメールソフトでメールを作成し「送信」ボタンを押すと、SMTPを使って送信メールサーバーに接続され、メールがアップロードされます。
- 送信メールサーバーは、宛先のメールアドレスに含まれるドメイン情報を基に、受信メールサーバーの場所(IPアドレス)をDNSに問い合わせます。DNSは受信メールサーバーのIPアドレスを調べて返答します。
- 送信メールサーバーは、DNSから受け取った情報を基に、SMTPを使ってメールを受信メールサーバーへ転送します。
- メールは受信メールサーバーに到達し、サーバー上に保存されます。受信者が手元のメールソフトでメールを確認する際には、POPやIMAPといった受信用のプロトコルを使って、サーバー上のメールを取得します。

SMTPサーバーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
SMTPサーバーとは? メール送受信の仕組みとサーバーの種類、SMTPサーバーのセットアップ方法|ベアメールブログ
SMTPとPOP/IMAPの違い
メール関連のプロトコルとして、SMTPと併せてよく名前が挙がるのが「POP」と「IMAP」です。これら3つのプロトコルは混同されがちですが、役割が明確に分かれています。
本章では、SMTP/POP/IMAPそれぞれの違いを解説します。
メールの「送信」を専門とするSMTP
これまで解説してきた通り、SMTPはメールを送信・転送するためのプロトコルです。メールソフトから送信サーバーへ、さらに送信サーバーから受信サーバーへと、メールを中継(リレー)する役割を担います。
SMTPは、メールを相手のメールサーバーまで届けることに特化しているのが最大の特徴であり、メールを受信者が実際に読むための処理は行いません。
メールの「受信」を専門とするPOPとIMAP
一方、POP(Post Office Protocol)とIMAP(Internet Message Access Protocol)は、メールサーバーに届いたメールをユーザが受け取る(受信する)ためのプロトコルです。
POPの役割・特徴
POPは、メールサーバー上のメールを、自分の端末(PCやスマートフォン)にダウンロードするためのプロトコルです。ダウンロード後、メールは基本的にサーバーから削除されますが、設定によってはサーバーに残すことも可能です。
メールデータがローカルに保存されるため、オフライン環境でも閲覧できる点が特徴です。
IMAPの役割・特徴
IMAPは、メールサーバーと自分の端末の受信ボックスを同期し、メールデータをサーバー上に残したまま閲覧するためのプロトコルです。
POPのようにメールを端末にダウンロードしないため、PCやスマートフォンなど複数のデバイスからメールデータにアクセスできるのが特徴です。
SMTPで利用されるポート番号とその役割
コンピュータ同士が通信を行う際には、通信の種類や用途を識別するために「ポート番号」という仕組みが使われます。SMTP通信においても、目的や要件に応じて、複数のポート番号が使い分けられています。
ここでは、代表的な25番・587番・465番の3つのポート番号について、それぞれの役割と特徴を解説します。
25番ポート(サーバー間のメール転送用)
25番ポートは、SMTPが最初に標準として割り当てられたポート番号で、主にメールサーバー同士(MTA間)でメールを転送するために利用されます。
しかし、25番ポートにはユーザ認証の仕組みがないため、過去には迷惑メールの大量送信などに悪用されるケースが多発しました。この問題を防ぐため、多くのインターネットサービスプロバイダでは、外部への25番ポート通信を制限する「OP25B(Outbound Port 25 Blocking)」を実施しています。
その結果、現在ではユーザがメールソフトからメールを送信する用途で25番ポートを利用することはほとんどなく、代替ポートを使用するのが一般的になっています。
587番ポート(メールソフトからの送信受付用)
OP25Bの対策として、メールソフトからメールを送信する際に利用が推奨されているのが587番ポートです。
587番ポートは「サブミッションポート」とも呼ばれ、メール送信時のユーザ認証(SMTP-AUTH)を必須としています。認証された正規のユーザのみがメールを送信できるため、第三者による不正利用や迷惑メール送信のリスクを大幅に低減できます。
25番ポートと587番ポートはSTARTTLS(※)に対応しており、SMTP通信をSSL/TLSで暗号化することが可能です。これにより、通信経路上での盗聴や改ざんを防ぎ、より安全なメール送信を実現します。
現在のメール送信環境では、587番ポートを使用したSMTP通信が事実上の標準となっています。
※STARTTLS:暗号化されていない平文での通信を、SSL/TLSを利用した暗号化通信に切り替える仕組みのこと
465番ポート(暗号化通信のためのポート)
465番ポートは、SMTP通信を最初からSSL/TLSで暗号化して行う方式(一般にSMTPSと呼ばれる通信)で利用されてきたポート番号です。
過去には、465番ポートの扱いが一時的に整理されていない時期がありましたが、現在ではRFC 8314により、メール送信(submission)におけるImplicit TLS(※)用ポートとして正式に位置付けられています。そのため、現在は587番ポートと465番ポートのいずれも送信時の選択肢となっています。
新しくメール送信環境を構築する場合には、一般に587番ポートが多く利用されますが、サーバーやメールソフトの対応状況によっては、465番ポートが利用されるケースもあります。
※Implicit TLS:暗黙的TLS。接続開始時からTLSにより暗号化された状態で通信を行う方式
SMTPの課題と解決方法
SMTPは、歴史が古く非常にシンプルに設計されています。そのため、いくつかの技術的な課題を抱えています。
代表的な課題として挙げられるのが、ユーザ認証の仕組みがないことと、通信が暗号化されていないことです。これらの欠点を補うために、現在では以下のような拡張機能や対策が広く採用されています。
ユーザー認証の導入:SMTP-AUTH
「Authenticated SMTP」(SMTP認証、SMTP-AUTH)はSMTPの拡張仕様の一つで、SMTPサーバーへメールの送信を依頼する際に、アカウント名とパスワードによるユーザ認証を行う仕組みです。
SMTPは本来、誰でも使えるオープンな設計が特徴でしたが、その結果として大量の迷惑メールが送信されるようになりました。こうした状況を受けて、正当な送信者のみがメールを送信できるようにするために導入されたのがSMTP-AUTHです。
なお、SMTP-AUTH を利用したメール送信では、サブミッションポートと呼ばれる587番ポートが使用されるのが一般的です。
通信の暗号化:STARTTLS
STARTTLSは通信を暗号化するための仕組みの一つで、もともと暗号化に対応していなかったSMTPやPOP3、IMAP4といったメール送受信のプロトコルでも利用されています。
STARTTLSでは、まず通常のポート番号とプロトコルで通信を開始し、通信相手がSTARTTLSに対応していることを確認したうえで、SSL/TLSによる暗号化通信に切り替えます。この方式のメリットとして、暗号化通信のための専用ポートを用意する必要がないこと、相手が暗号化に対応していない場合でも通信を継続できることが挙げられます。
現在、メール送信では587番ポートを利用したSTARTTLSが広く普及しており、標準的な暗号化方式として多くの環境で採用されています。一方で、通信開始時から暗号化を行うImplicit TLS(465番ポートを利用)も、環境や運用方針によって利用されています。
STARTTLSの仕組みやSMTPSとの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
STARTTLSとは? メールのTLS暗号化の仕組みから設定・確認方法|ベアメールブログ
25番ポートの利用禁止:OP25B/IP25B
「OP25B」(Outbound Port 25 Blocking)は、SMTPの拡張機能ではなく、外部ネットワークのSMTPサーバー(25番ポート)への接続を制限する仕組みです。SMTPのオープン性を悪用した迷惑メール対策として、ISPやホスティング事業者、IaaSベンダーなどが実施しています。
OP25Bが実施されている環境では、25番ポートを利用したSMTP送信が遮断されるため、587番ポート(サブミッションポート)を利用したSMTP-AUTHなど、別の送信手段を利用する必要があります。
なお、「IP25B」(Inbound Port 25 Blocking)は「OP25B」とは反対に、外部からの25番ポートへの接続を遮断する仕組みで、主に迷惑メールの受信を防ぐ目的で利用されます。
OP25Bについては、以下の記事で詳しく解説しています。
メール送信規制「OP25B」とは? 25番ポートブロックの概要と回避策 | ベアメールブログ
SMTPリレーサービスとは?
ここまで解説してきた通り、SMTPは非常にシンプルな仕組みであるがゆえに、その「誰でも利用できる」という特徴を悪用した迷惑メールが多発するようになりました。この問題に対して、ISPや携帯キャリアは、迷惑メールを防止するための様々な対策を講じています。
一方で、こうした迷惑メール対策の影響により、メルマガなどの大量送信を行うと、正規のメールであっても迷惑メールと誤認され、届きにくくなるという課題も顕在化しました。また、メールを安定して届けるためには、送信元としての信頼性(レピュテーション)を維持し続ける運用が必要ですが、これには専門的な知識が必要や継続的な管理が求められ、自社だけで対応するには負担が大きくなりがちです。
こうした背景から、メールの大量送信や安定配信に特化したサービスとして利用されているのが、SMTPリレーサービス(メールリレーサービス)です。SMTPによるサーバー間転送(リレー)の仕組みを活用し、メールを外部の配信基盤を経由して送信することで、運用負荷を抑えつつ確実な配信を実現します。
メールリレーサービスの概要や具体的な利用シーンについては、以下の記事で詳しく解説しています。
メールの到達率を上げられるメールリレーって、なに?|ベアメールブログ
メールリレーサービスの利用シーンとその効果とは?|ベアメールブログ
SMTPリレーサービスが必要になるケース
SMTPリレーサービスが必要になる代表的なケースとして、次のようなものが挙げられます。
迷惑メールと誤認されずに、大量送信したい場合
ISPや携帯キャリアは、「IPスロットリング」と呼ばれる、一定時間内に送信できるメール量を制限する仕組みを導入しています。短時間に大量のメールを一斉送信すると、スパマーによる迷惑行為であると判断され、受信が一時的に拒否されることがあります。
しかし実際には、顧客向けのメールマガジンや、会員登録完了通知・購入完了メールといったトランザクションメールなど、正当な理由で大量のメールを一斉送信したいケースも少なくありません。こうしたメールであっても、送信量が多いことで制限を受けてしまうことがあります。
IPレピュテーションの管理負荷を軽減したい場合
自社のメールサーバーから大量のメール送信を繰り返すと、迷惑メールと誤認されやすくなり、メール到達率の低下やIPレピュテーションの低下につながる恐れがあります。一度低下したレピュテーションスコアを改善するには、時間をかけた継続的な取り組みが必要です。
さらに状況が悪化すると、ドメインがブラックリストに登録されるリスクもあります。ブラックリストに登録されてしまうと解除申請が必要となり、対応には時間と手間がかかります。
こうした厳しい迷惑メール対策への対応や、運用の手間を低減させる手段として、メールの大量送信に特化した環境を介してメールを送信するSMTPリレーサービスが利用されています。
SMTPリレーサービスを利用するメリット
SMTPリレーサービスを利用することで、主に次のようなメリットが得られます。
メール到達率の改善
メールリレーサービスの提供事業者は、ISPや携帯キャリアにメールを確実に届けるための独自の配信アルゴリズムを持っています。そのため、SMTPリレーサービスを利用することで、これまで届きにくかったメールも安定して配信できるようになります。
会員登録の確認メールや購入完了のサンキューメールなど、必ず届けたい重要な通知メールについても、ECシステムとの連携不備やIPレピュテーションの不足、宛先不明によるエラーといった問題を解決することで、不達や遅延のリスクを低減できます。
低コストで大量のメールを高速配信
メールサーバーの処理能力を超える大量のメールを一括送信すると、サーバーが処理しきれず、送信の遅延が発生しやすくなります。この問題に自社で対応しようとすると、複数のメールサーバーを並列で稼働させる必要があり、インフラ構築や運用のコストが大きな負担となります。
また、新しく構築した送信環境からいきなり大量のメールを送信すると、IPレピュテーションに悪影響を与える可能性があります。これは、受信側から「急激に送信量が増えた不審な送信元」と判断されやすいためです。
SMTPリレーサービスでは、大量配信を前提とした配信基盤があらかじめ用意されており、複数のIPアドレスから分散してメールを送信します。そのため、大量のメールを送信する場合でも、コストを抑えながら高速かつ安定した配信が可能です。
IPレピュテーション管理が不要
メールの到達率を安定して維持するためには、IPレピュテーションを高い水準で保つ必要がありますが、その管理には専門的な知識と継続的な運用が求められます。
SMTPリレーサービスを利用する場合、事業者が管理しているレピュテーションの高い配信環境からメールを送信できるため、自社でIPレピュテーションを管理する必要がありません。評価維持のための送信量の調整をはじめとした煩雑な運用を任せることができ、運用負荷を大幅に軽減できます。
その結果、メール配信に関する専門的なノウハウがなくても、安定した到達率を実現しやすくなる点が大きなメリットです。
主要サービスの特徴をまとめたお役立ち資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。
『メールリレーサービスの選び方』
まとめ
本記事では、SMTPの基本的な役割をはじめ、メール送信の仕組み、SMTPが抱える課題、そしてその解決策としてのSMTPリレーサービスについて解説してきました。SMTPはシンプルで汎用性の高い仕組みである一方、迷惑メール対策や大量送信への対応、レピュテーション管理といった点では、運用上の負担が大きくなりがちです。
ベアメールでは、高いメール到達率と高速・大量配信を実現するSMTPリレーサービス「メールリレーサービス」を提供しています。メールサーバーの構築・運用やIPレピュテーションの管理を任せることで、運用負荷や人的コストを大幅に削減できます。コストを抑えながら、安定したメール配信環境を整えたい方におすすめです。
また、メールが届かない原因を分析・可視化して改善策を提示する「迷惑メールスコアリングサービス」も提供しています。迷惑メールとして判定されるリスクを減らすことで、より確実なメール配信を目指すことが可能です。
メール配信に課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にベアメールへご相談ください。
