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DNSの正引き・逆引きが不一致になるのはなぜ? 主な原因と対処法を解説

DNSの正引き・逆引きが不一致になるのはなぜ? 主な原因と対処法を解説

メールの送信元を確認する際に、DNSの正引き・逆引きが参照されることがあります。正引きと逆引きの結果が一致していない場合、受信側で信頼性の低い送信元と判断され、メールが迷惑メールフォルダへ振り分けられたり、受信拒否されたりする可能性があります。

特に、自社でメールサーバーを運用している場合や、クラウド・ホスティング環境からメールを送信している場合は、送信元IPアドレスとホスト名の対応関係が正しく設定されているかを確認しておくことが重要です。

本記事では、DNSの正引き・逆引きの基本や、一致しているかを確認する手順、不一致になる主な原因と対処法を解説します。

※この記事では、送信元IPアドレスを逆引きして得られたホスト名を正引きし、その結果として返されたIPアドレスの中に元の送信元IPアドレスが含まれている状態を「正引き・逆引きが一致している」と表現します

メール送受信に必要なDNSレコードの種類や設定方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
メール送受信に必要なDNS設定とは?迷惑メール判定リスクを抑えるためのポイントも解説|ベアメールブログ

お役立ち資料のダウンロードページへ移動(『迷惑メールに判定される原因徹底解説』:迷惑メール判定されるメカニズムと回避するための対策)

DNSの正引き・逆引きとは

DNSの正引き・逆引きは、ホスト名とIPアドレスの対応関係を確認するための仕組みです。ここでは、本記事の前提として、正引きと逆引きの違いを簡単に整理します。

正引きとは

正引きとは、ホスト名からIPアドレスを調べることです。例えば、メールサーバーのホスト名をDNSに問い合わせ、対応するIPv4アドレスやIPv6アドレスを確認する処理が該当します。正引きでは、主にAレコードやAAAAレコードが参照されます。

Aレコードの役割やメール送信との関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

逆引きとは

逆引きとは、IPアドレスから対応するホスト名を調べることです。メール送信では、受信側メールサーバーが送信元IPアドレスを逆引きし、どのホスト名に対応しているかを確認することがあります。逆引きでは、PTRレコードが参照されます。

PTRレコードの役割や、メール送信における逆引きの重要性については、以下の記事で詳しく解説しています。

DNSの正引き・逆引きが一致しているか確認する手順

続いて、メールヘッダとdigコマンドを使って、DNSの正引き・逆引きが一致しているかを確認する手順を解説します。

なお、確認する際は、受信側メールサーバーから参照できる公開DNSの結果を基準とします。社内DNSやVPN環境では、外部とは異なるDNS情報が返されることがあるため、必要に応じて外部のDNSリゾルバでも結果を確認してください。

1. メールヘッダから送信元IPアドレスを確認する

まず、実際に送信されたメールのメールヘッダを開き、送信元IPアドレスを確認します。送信元IPアドレスは、受信側が外部からメールを受け入れた際に追加したReceivedヘッダに記載されています。

例えば、以下のように表示されている場合、送信元IPアドレスは「192.0.2.10」です。

Received: from mail.example.com (mail.example.com [192.0.2.10])

メールヘッダの見方については、以下の記事で詳しく解説しています。

2. dig -xで送信元IPアドレスを逆引きする

次に、確認した送信元IPアドレスを逆引きします。IPアドレスの前に「-x」を付けて、digコマンドを実行します。

dig -x 192.0.2.10

PTRレコードが設定されている場合、ANSWER SECTIONに以下のようなホスト名が表示されます。

10.2.0.192.in-addr.arpa. 3600 IN PTR mail.example.com.

この例では、送信元IPアドレス「192.0.2.10」を逆引きした結果として、「mail.example.com」というホスト名が返されています。

3. 逆引きで得られたホスト名を正引きする

続いて、逆引きで得られたホスト名を正引きします。IPv4アドレスを確認する場合は、Aレコードを指定します。

dig A mail.example.com

IPv6アドレスを利用している場合は、AAAAレコードも確認します。

dig AAAA mail.example.com

Aレコードが設定されている場合、ANSWER SECTIONに以下のようなIPアドレスが表示されます。

mail.example.com. 3600 IN A 192.0.2.10

4. 正引き結果が送信元IPアドレスと一致するか確認する

最後に、メールヘッダで確認した送信元IPアドレスと、ホスト名を正引きして返ってきたIPアドレスが一致しているかを確認します。

例えば、以下のように確認できれば、正引き・逆引きの結果は一致しています。

送信元IPアドレス:192.0.2.10
逆引き結果:mail.example.com
正引き結果:192.0.2.10

一方、正引きした結果が別のIPアドレスになる場合や、A/AAAAレコードが返ってこない場合は、DNSの正引き・逆引きの一致を確認できない状態です。

正引き・逆引きが不一致になる主な原因や対処法については、次章で解説します。

DNSの正引き・逆引きが不一致になる主な原因と対処法

DNSの正引き・逆引きが一致しない原因としては、PTRレコードの未設定や、PTRレコードで返されたホスト名に対応するA/AAAAレコードの設定不備、送信元IPアドレス変更後のDNSレコードの更新漏れなどが挙げられます。

原因によって確認すべきDNSレコードが異なるため、まずはどの段階で一致を確認できないのかを切り分けることが重要です。ここでは、正引き・逆引きが一致しない主な原因と、それぞれの対処法について解説します。

PTRレコードが設定されていない

PTRレコードが設定されていない場合、送信元IPアドレスを逆引きしてもホスト名が返されません。これは、正引き・逆引きが不一致というよりも、そもそも逆引き結果を確認できない状態です。

この場合は、送信元IPアドレスに対応させるホスト名を確認したうえで、PTRレコードを設定します。ただし、PTRレコードは通常、ドメインのDNS管理画面ではなく、IPアドレスを管理しているISPやクラウド事業者、ホスティング事業者側で設定します。

自社で直接設定できない場合は、利用中のサービスの管理画面やサポート窓口から、送信元IPアドレスに対応するホスト名を指定して、PTRレコードの設定を依頼しましょう。

PTRレコードのホスト名に対応するA/AAAAレコードが設定されていない

PTRレコードでホスト名が返されても、そのホスト名に対応するAレコードまたはAAAAレコードが設定されていない場合、正引きでIPアドレスを確認できません。これは、逆引きはできているものの、正引き・逆引きの対応関係を確認できない状態です。

また、AレコードやAAAAレコードが設定されていても、正引き結果に元の送信元IPアドレスが含まれていない場合は、正引き・逆引きが一致しません。

この場合は、PTRレコードで返されたホスト名に対して、適切なAレコードまたはAAAAレコードを設定します。IPv4アドレスを使用している場合はAレコード、IPv6アドレスを使用している場合はAAAAレコードを確認し、正引き結果の中に元の送信元IPアドレスが含まれるように修正します。

送信元IPアドレスの変更がDNS設定に反映されていない

メールサーバーの移行やクラウド環境の変更などにより、メール送信に使用するIPアドレスが変わったにもかかわらず、PTRレコードやA/AAAAレコードが古い情報のまま残っているケースがあります。

例えば、逆引きで得られたホスト名を正引きした際に、メールヘッダで確認した現在の送信元IPアドレスとは異なるIPアドレスが返される場合があります。このような状態では、正引き・逆引きの対応関係が一致していません。

この場合は、PTRレコードとA/AAAAレコードの設定内容を見直す必要があります。PTRレコードには現在の送信元IPアドレスに対応するホスト名を設定し、そのホスト名を正引きした結果として同じ送信元IPアドレスが返るように、A/AAAAレコードを修正します。

なお、DNSレコードを更新済みであっても、以前の応答がDNSキャッシュに残っている間は、古いIPアドレスが返されることがあります。設定変更後に結果が一致しない場合は、権威DNSサーバー上の設定と外部DNSリゾルバからの応答を確認し、キャッシュが原因であればTTLの有効期限が切れた後に再度確認しましょう。

IPv6側のPTRレコードやAAAAレコードが未設定になっている

IPv6アドレスでメールを送信している場合は、IPv4だけでなくIPv6側のDNS設定も確認する必要があります。IPv4のAレコードに相当するものがAAAAレコードであり、IPv6アドレスを逆引きする場合もPTRレコードが使用されます。

IPv6の送信元IPアドレスにPTRレコードが設定されていない場合、逆引きでホスト名を確認できません。また、逆引きでホスト名が返されても、そのホスト名に対応するAAAAレコードが設定されていない場合は、正引きでIPv6アドレスを確認できません。

IPv6アドレスのPTRレコードが未設定の場合は、IPアドレスを管理している事業者側にPTRレコードの設定を依頼します。また、逆引きで得られたホスト名のAAAAレコードを確認し、正引き結果として返されるIPv6アドレスの中に、実際の送信元IPv6アドレスが含まれるように修正しましょう。

メールサーバーの運用負荷を抑えるならメールリレーの活用も有効

DNSの正引き・逆引きの不一致を防ぐには、送信元IPアドレスやPTRレコード、A/AAAAレコードを適切に管理する必要があります。特に、自社でメールサーバーを運用している場合は、サーバー移行やIPアドレス変更のたびに、DNS設定との整合性を確認しなければなりません。

こうした運用負荷を抑えたい場合は、メール送信に特化したメールリレーサービスを利用するのも一つの方法です。メールリレーサービスを利用すると、自社システムから送信するメールを外部の配信基盤経由で送信できるため、メールサーバーの構築・運用にかかる負担を軽減できます。

ベアメール メールリレーサービスは、メール配信に特化したクラウド型のメールリレーサービスです。既存のシステムからメールを中継することで、安定したメール配信環境の構築を支援します。自社でのメールサーバー運用に不安がある場合や、メール配信環境を見直したい場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

本記事では、DNSの正引き・逆引きの基本や、一致しているかを確認する手順、不一致になる主な原因と対処法について解説しました。

正引き・逆引きが一致しない場合、受信側が送信元の信頼性を評価する際のマイナス要因となり、迷惑メールフォルダへ振り分けられたり、受信拒否されたりする可能性があります。

正引き・逆引きの一致だけで送信者の正当性が保証されるわけではありませんが、安定したメール送信環境を整えるうえで確認しておきたい項目の一つです。

自社でメールサーバーを運用している場合は、PTRレコードやA/AAAAレコードの設定内容を定期的に確認し、サーバー移行やIPアドレス変更に伴うDNSレコードの更新漏れがないように注意しましょう。