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2023.11.13 (月)
メールの基本メールホスティング/メールリレーサービス/メール配信システムの違いとは?
Last Updated on 2024.08.5
メール配信の作業を効率化したり、到達率を高めたりするために役立つメールサービス。しかしメールサービスと一口に言ってもさまざまな種類があり、備わっている機能はかなり異なります。本記事では、メールサービスを使うべき利用シーンから、各種メールサービスの特長や機能、代表的なサービスについて紹介しますので、自社の要件に適したメールサービスの選定にお役立てください。
目次
メールサービスの利用シーン
チャットツールなどが普及した今日でも、顧客とのコミュニケーションやマーケティング活動にメールは欠かせません。ビジネスメールやメールマガジン、ECサイトやWebサービスなどから自動で送信するメール、複合機や社内システムからのメールなど、メールが送信されるシーンは意外と幅広く存在します。
まずはメールサービスを使うべき利用シーンについて紹介します。
メールを大量に送信したい
通常のメールサーバーは大量のメールを一斉配信するのには向いていません。
サーバーのスペックが十分でないと、メールサーバーがパンクしてしまい、メールの送受信に遅延が生じてしまう可能性があります。また突然大量のメールを送信すると、受信側は「これは大量配信をするスパマーではないか」と判断するため、迷惑メールフォルダに振り分けられてしまったり、最悪の場合ブロックされてしまったりします。
ビジネスメールのやり取りに使用するメールサーバーから大量送信してしまうと上記のようなトラブルが発生するリスクが高いため、専用のメール配信システムを利用すべきです。
自社のメールサーバーを廃止したい
メールサーバーを自社で運用している場合、サーバーの監視や障害時の対応、データのバックアップ、バージョンアップなどのメンテナンス、老朽化の対応、スペックの見直しなど、運用に手間とコストがかかります。企業の情報システム部の人材不足が叫ばれる中、サーバーのお守りやトラブル時の対応はできるだけ避けたいものでしょう。
自社で運用するメールサーバーを削減したいという場合には、レンタルメールサーバーやクラウドメールサービスに切り替えることで運用負荷を削減することができます。
見栄えの良いHTMLメールを作成したい
メールマガジンなどの販促用メールで成果を上げるためには、画像やデザインなどの見栄えが重要になります。受信者はメルマガを読み進めるかどうか、開いて3秒以内に判断すると言われているため、視覚的にアピールして独自性を出すためにもHTMLメールは有効です。
メルマガ配信に特化したメール配信システムであれば、デザインのテンプレートが用意されていたり、管理画面から簡単にカスタマイズができるため、HTMLの知識がなくても手軽に見栄えの良いデザインメールを作成することができるでしょう。
メルマガの効果測定と改善に取り組みたい
メルマガや一斉配信メールなど、ただ送っただけでは効果も測れず、もったいない状態といえます。件名や内容などのコンテンツによって反応率は顕著に変わるため、開封率やクリック率をきちんと測定することで、受信者の傾向や状況を知ることに役立てられます。セグメントごとにコンテンツを変更したり、検証を繰り返すことで効果を最大化することができるでしょう。
メールマガジンやメールによる営業アプローチの成果を改善したい場合は、効果測定や分析機能が豊富なシステムを選ぶと良いでしょう。
システムからの自動通知メールを送信したい
メールマガジンではなく、CRMやワークフローなどのシステムからの通知メールや、Webサイトからの自動返信メール、ECサイトからの通知メールなど、各種システムから自動的にメールを配信するケースも多くあります。そういった場合、レンタルメールサーバーやクラウドメールサービスでは柔軟な連携が難しい場合があります。また、自動通知メールも大量になれば大量配信の問題も発生します。
システムから連携してメールを配信したい場合は、メール送信に特化したメールリレーサービスがおすすめです。大量配信も問題なく、SMTPやAPIで連携するだけで簡単にメールを配信することができます。
メールの到達率を改善したい
メールを送信すれば宛先に届くのは当たり前かと思いきや、意外と「メールが届かない」というトラブルは発生するものです。巧妙化するスパムメールの被害は今も絶えず、携帯キャリアやメールサービスプロバイダなどの受信側はメールセキュリティを日々強化しています。受信側の迷惑メールフィルターのチェックポイントをクリアしていなければ、スパムメールと誤解され、迷惑メールフォルダに振り分けられたり受信拒否をされたりしてしまうのです。
受信側は多角的にメールをチェックするため、迷惑メールとして扱われてしまう要因は多岐に渡りますが、メールリレーサービスを利用することで到達率が改善する場合も多いです。
メールサービスの選び方
メール配信に関連するサービスにはさまざまな種類があります。前述した利用シーンに加え、要件によって適したメールサービスは異なるため、選ぶ際にはまず導入目的を整理しましょう。確認したいポイントは次のとおりです。
- メールの利用目的(業務メール、メールマガジンの配信、顧客対応、通知メールの自動配信など)
- 利用するユーザ数
- 想定されるメールの送信量(宛先のアドレス数、通数)
- 必要な機能
これらを整理したうえで、要件を満たすメールサービスを選びましょう。メール送信に関わるサービスのうち、ここでは代表的な以下の4つを比較します。
- レンタルメールサーバー/メールホスティング):メールサーバーをレンタルできるサービス
- クラウドメールサービス:Webブラウザや専用アプリからメールを送受信できるクラウドサービス
- メルマガスタンド/メール配信システム:メールマガジンの配信を効率的に行うためのサービス
- メールリレーサービス:メールを中継し、到達率改善や大量配信を実現するサービス
代表的なメールサービスカテゴリ比較表
レンタルメールサーバー | クラウドメールサービス | メルマガスタンド/メール配信システム | メールリレーサービス | |
---|---|---|---|---|
用途 | 業務メールの送受信 | 業務メールの送受信 | メールマガジンの配信 | メールマガジン、システムからの通知メールの配信 |
主な機能 | ・メーリングリスト ・ウイルスチェック ・迷惑メールフィルター ・アカウント管理 | ・メーリングリスト ・ウイルスチェック ・迷惑メールフィルター ・アカウント管理 ・その他メール以外のアプリ | ・配信先管理 ・予約配信、ステップメール配信 ・HTMLメール作成 ・開封率測定 | ・自社サーバー、システムからの連携 ・API連携 ・到達率改善 ・配信結果、メールログ確認 |
独自ドメイン | 使用可能 | 無料版では不可(法人プランでは使用可能) | 使用可能 | 使用可能 |
配信量 | 大量配信NG | 大量配信NG | 数千〜百万通以上可能 | 数千〜百万通以上可能 |
課金体系 | 容量、ユーザ数、機能に応じた月額料金 | 法人プランの場合は機能とユーザ数に応じた月額料金 | 初期費用+配信通数/配信先数に応じた月額料金 | 初期費用+配信通数に応じた月額料金 |
次章からそれぞれのメールサービスについて詳しく解説します。
レンタルメールサーバー
レンタルメールサーバーとは、メールを送受信するために必要なメールサーバーをレンタルできるサービスのことを指します。
レンタルメールサーバーの特長
レンタルメールサーバーの特長は次のとおりです。
- メールアドレスの@以降の部分(ドメイン)を独自のものに設定できる。(独自ドメインの使用)
- サービスの提供事業者が環境の構築や障害時の対応を行うため、運用・管理の手間がかからない。
- サービスやプランによっては、迷惑メールフィルターなどセキュリティ機能も備わっている。
- 低コストで利用できる。
代表的なサービス
代表的なレンタルメールサーバーを紹介します。
レンタルサーバープロバイダ大手のさくらインターネットが提供する、独自ドメインのメールが使えるメール専用プランです。初期費用は無料で、メールアドレス数は無制限、マルチドメインは最大20個設定できます。また、サーバー側で迷惑メールをチェックし、自動処理する機能も搭載されています。
NTTPCコミュニケーションズが提供するメールホスティングサービスです。設備から完全二重化で構築されており、高い安定性が強みです。またランサムウェアやフィッシングといった標的型攻撃から守るためAI予測型のメールセキュリティを採用しており、安全性を重視する企業におすすめです。
クラウドメールサービス
クラウドメールサービスとは、Webブラウザやアプリケーションからクラウド上のサーバーを介してメールの送受信ができるサービスです。
クラウドメールサービスの特長
クラウドメールサービスの特長は次のとおりです。
- インターネット環境さえあれば場所や端末を問わず使用できる。
- サービスの提供事業者が環境の構築や障害時の対応を行うため、運用・管理の手間がかからない。
- 保存容量が多く、大量のメールデータを保管できる。
- カレンダー、ファイルサーバ、ドキュメント作成、表計算ソフト、プレゼンテーション作成、Web会議など様々なアプリケーションとセットになっている。
代表的なサービス
代表的なクラウドメールサービスを紹介します。
Googleが提供する法人向けクラウドサービスです。メールサービスのGmailでは、法人向けに独自ドメインの取得やスパムメールのブロック、グループメールなどの機能が利用できます。GoogleカレンダーやGoogleドライブなど他のアプリケーションとの連携も可能です。
Microsoftが提供する法人向けクラウドサービスです。メールサービスとしてはExchange Online、メールクライアントとしてOutlookが利用できます。メール機能としてはマルウェアやスパムのフィルタリング機能や、誤送信を防止する機能などが備わっています。
メルマガスタンド/メール配信システム
メルマガスタンド/メール配信システムとは、メールマガジンの配信に特化したサービスです。HTMLメールの作成、配信先情報の管理、効果測定など、メルマガ配信を効率的に行うための機能が搭載されています。
メルマガスタンド/メール配信システムの特長
メルマガスタンド/メール配信システムの特長は次のとおりです。
- 簡単な操作でデザイン性の高いHTMLメールを作成できる。
- 日時を指定して予約配信ができる。
- あらかじめ準備しておいた複数のメールを段階的に配信するステップメールを実践できる。
- 配信先リストの管理ができる。
- メルマガ配信後の開封率やクリック率といった効果測定ができる。
代表的なサービス
代表的なメルマガスタンド/メール配信システムを紹介します。
メールの配信業務、検証業務、分析業務を総合的にサポートするメール配信システムです。商談やアポイント獲得を効率化するための機能も備わっており、メルマガ配信だけでなく営業支援的なツールとしても活用できる強みがあるのが特長です。
メルマガ配信に慣れていない人でも簡単にメール配信ができることを追求して作られたサービスで、シンプルな操作性とコストパフォーマンスの高さが強みです。
低コストでも機能が充実したメール配信システムです。150種類以上のテンプレートが用意されており、初心者でも簡単にHTMLメールを作成することが可能です。配信結果の効果測定もグラフで分かりやすく表示されるため、分析のハードルも低くメール配信の改善に役立てられます。
メールリレーサービス
メールリレーサービスとは、メールの送信を中継(リレー)することで大量配信や到達率の改善を実現するサービスです。大量のメールを送信する場合、通常のサーバーでは処理能力やIPレピュテーションの問題で、迷惑メール判定されたり遅延したりしてしまうことがあります。そこで、送信元のシステムからメールリレーサービスに連携することで大量配信や到達率の改善を実現します。
メールリレーサービスの特長
メールリレーサービスの特長は次のとおりです。
- 専用の配信基盤が用意されており、短時間に大量のメールを配信できる。
- 独自に培ったノウハウやIPレピュテーション(IPアドレスの評判)により、メールの到達率を高められる。
- メールの作成機能や宛先の管理機能はなく、システムからの連携に特化している。
- 配信結果や配信ログを管理画面から簡単に確認することができる。
代表的なサービス
代表的なメールリレーサービスを紹介します。
- ベアメール メールリレー
IPレピュテーションの高い配信環境を備えており、顧客に確実に届けたいメールを高い到達率で配信するメールリレーサービスです。クラウドやオンプレミスなどさまざまな環境から利用できます。わかりやすい管理画面と手厚いサポートが特長で、メールに関するナレッジのないユーザでも安心して利用できます。
クラウド型のメールリレー/メール配信サービスです。APIが充実しており、さまざまなシステムから連携して利用できます。APIの仕様やマニュアルなどのドキュメントは公開されているため、自分でドキュメントを読んで実装できるユーザにお勧めです。
まとめ
メールサーバーの運用負荷を削減したい、メルマガの配信業務を効率化したい、メールの到達率を高めたい…などの課題を抱えている企業にとってサービスの導入は非常に効果的です。ただしメール配信に関わるサービスにはさまざまな種類があるため、自社に適したサービスを選択しなければなりません。まずは自社の導入目的を整理したうえで、各メールサービスの特長を理解し、要件に合ったものを選びましょう。ぜひこの記事を参考に、メールサービスを検討してみてください。