Menu

BLOG ベアメールブログ

主要レンタルサーバーのメール送信制限まとめ・メールが届かない場合の解決策とは?

email marketing concept, company sending many e-mails

Last Updated on 2023.05.23

独自ドメインでのメール配信にあたり、レンタルサーバーのメール機能を利用する方も多いかもしれません。ただし、レンタルサーバーからメールを送信するにあたっては、いくつかの課題があります。本記事ではレンタルサーバーからメールを送信する際の注意点、主要なレンタルサーバーにおけるメール送信制限、メールが送信できない/送信したメールが届かないといった場合の解決策について解説します。

レンタルサーバーからメールを送信する際の課題

レンタルサーバーは、サーバー構築に必要な初期投資や専門知識が必要なく、すでにセットアップされたサーバーをレンタルし、手軽にメール機能を利用できることがメリットです。ただし、レンタルサーバーからのメール送信には以下のような課題があるため注意が必要です。

メールの送信制限

レンタルサーバーの提供事業者は、それぞれメールに関する制限を設けている場合が多いです。具体的にはメールの送信数やメーリングリスト数、マルチドメイン数などです。

メールの送信数は「一時間あたり◯通まで」「一日あたり◯通まで」のような制限があります。数百通程度なら問題ないことが多いですが、メールマガジンの配信などで数千通以上を配信する場合は、小分けにして少しずつ送るなどの対応が必要になります。

メーリングリストとは、一斉送信に便利な特定の人をグループ分けする機能で、この作成数や登録できるアドレス数が制限されることがあります。

マルチドメインとは、一つのレンタルサーバー契約で複数のドメインを使用することです。複数のメールアドレスでの送受信を一つのサーバーで管理できますが、このメールアドレスの数が制限されることもあります。

メールの送信制限がある理由

これらのメールに関する制限、特にメールの送信数の制限がレンタルサーバーに設けられている理由は、スパムメール/迷惑メールを発信する個人および業者である「スパマー」対策のためです。廉価で手間をかけずに利用でき、無制限にメールを送信できる環境はスパマーにとって理想的なため、スパム行為を防ぐ目的でメール送信制限が設けられています。

またレンタルサーバーは複数のユーザで共有するという事情もあります。あるユーザが大量送信を行うことで、サーバーやネットワークに負荷がかかると、他のユーザにも遅延などのトラブルが起きてしまうからです。また詳しくは後述しますが、共有環境であることで、一部のユーザがスパム行為を行った場合にも他のユーザに悪影響が及んでしまいます。このような影響を考慮し、利用者全体が安心して利用できる環境を保つために制限があるのです。

メールがブロックされるリスク

GmailやiCloud、docomo、au、softbankなど、メールサービスを提供する多くのメールプロパイダやキャリアでは、自社サービスの利用者を迷惑メール被害から守るため、さまざまな迷惑メール対策を実施しています。ブラックリストやIPレピュテーションを参照し、評判の悪いIPアドレスからのメールをブロックするのも迷惑メール対策の一つです。

ブラックリストとは、迷惑メールや不正コンテンツなどを配信する送信元を収集・登録し、共有するサービスのことです。メールの送信元IPアドレスやドメインから送信者の信頼性をリアルタイムで照会できるため、世界中のメールサービスで利用されています。これらのブラックリストにIPアドレスやドメインが登録されてしまうと、多くのメールサービスから迷惑メールを配信するスパマーだと認識されるため、送信したメールがブロックされ到達率が著しく下がります。

ブラックリストについて詳しくはこちらの記事をご参照ください。
ブラックリスト登録されたメールの確認・解除方法について | ベアメールブログ

IPレピュテーションとは、文字通りIPアドレスのレピュテーション(=評判)のことです。さまざまなデータソースから収集した情報をベースに、過去の送信実績から統計的にリスク評価を行い、そのIPアドレスの持つ信頼性をスコアとして算出したものです。IPレピュテーションが低い場合も、メールプロバイダやキャリアからメールの受信制限が行われたり、ブロックされたりする原因になります。

IPレピュテーションについて詳しくはこちらの記事をご参照ください。
IPレピュテーションの基礎知識、メール到達率との関係を解説 | ベアメールブログ


前述した通り、レンタルサーバーは複数のユーザで環境を共有するため、自分がスパム行為を行っていなくても別のユーザがスパム行為もしくは疑われる行為を行った場合、そのレンタルサーバーのIPアドレスがブラックリストに登録されてしまうことがあります。ブラックリストやIPレピュテーションは、個別のIPアドレスだけでなくその近隣のIPアドレス、つまり問題のあるIPを含むネットワーク全体を評価する傾向にあるので、結果的にそのレンタルサーバーを利用するユーザ全体がブロックされることにつながるのです。

実際に、過去にはGMO系のレンタルサーバー・クラウドサービスから送信したメールがGmailやG Suiteにブロックされるという障害が発生したことがありました。この障害の原因として、GMO系のIPアドレスがSpamhausの公開するブラックリストに登録されたことだと報告されています。この場合もGMOの一部ユーザがスパムメールを送信していたことで、そのサーバーのIPアドレスだけでなくそのIPを含むネットワーク全体がブラックリストに登録されてしまったようです。

参考:日経クロステック「GMOクラウドからGmailにメールを送れなくなったトラブルの深層」https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00598/042400018/ (2022/12/27 確認)

主要レンタルサーバーのメール送信制限

レンタルサーバーでは実際にどのような制限が設けられているのでしょうか。ここでは利用者の多い、さくらのレンタルサーバー・エックスサーバー・ロリポップ・ヘテムル・mixhostのメール送信通数の制限をまとめてみました。

レンタルサーバープラン送信件数制限
さくらのレンタルサーバ(さくらインターネット株式会社)※1ライト/スタンダード/プレミアム15分毎に約100通程度
(400通/時間、9,600通/日 換算、ただし15分に100通程度を超えない範囲)
ビジネス/ビジネスプロ15分毎に約250通程度
(1,000通/時間、24,000通/日 換算、ただし15分に250通程度を超えない範囲)
Xserverレンタルサーバー(エックスサーバー株式会社)※2全プラン1,500通/時間 15,000通/日
ロリポップ! レンタルサーバー(GMOペパボ株式会社)※3エコノミープラン100件/時間
1,000件/24時間
ライトプラン300件/時間
3,000件/24時間
スタンダード/ハイスピード/エンタープライズ プラン1,000件/時間
10,000件/24時間
ヘテムル(GMOペパボ株式会社)※4全プラン1,000件/時間
10,000件/日
mixhost(アズポケット株式会社)※5  スタンダード1,500通/時間
15,000通/日
プレミアム2,000通/時間
20,000通/日
ビジネス2,500通/時間
25,000通/日

※1 あくまで目安のため、サーバーの負荷状況により前後する可能性がある。
参考:さくらインターネット「基本仕様を知りたい(さくらのレンタルサーバ)」https://help.sakura.ad.jp/rs/2251/ (2022/12/27 確認)

※2 迷惑メールなどの配信が行われた際は、上記範囲であっても制限をする。
参考:XServer「仕様一覧」https://www.xserver.ne.jp/manual/man_mail_spec.php (2022/12/27 確認)

※3 お試し期間中は、全プランともに24時間あたり50件まで。
参考:ロリポップ!レンタルサーバー「禁止事項」https://lolipop.jp/terms/prohibition/ (2022/12/27 確認)

※4 お試し期間中は、1日100件で配信制限となる。
参考:へテムル「よくある質問」https://support.heteml.jp/hc/ja/articles/360042149533 (2022/12/27 確認)

※5 送信制限対象として、メールの転送、PHPスクリプトでのsendmail等を含む。
参考:mixhost「機能一覧」 https://mixhost.jp/functions/ (2022/12/27 確認)

レンタルサーバーからメールが送信できない/メールが届かない場合は

レンタルサーバーでのメール配信は、各事業者の制限内容を確認し、自社のメール配信要件がその制限内で可能であれば問題ありません。とはいえ、前述したような自社以外の要因によってレンタルサーバーのIPアドレスがブラックリストに登録されたり、IPレピュテーションが低下したりといったことから、メールが届きにくくなるリスクもあります。

安定したメール配信を行いたい場合や、GmailやiCloudなど特定のメールサービスに対して送信したメールが届かないといった場合は、自社の状況に応じて以下の対応を検討してみてください。

送信ドメイン認証に対応する

まず、送信ドメイン認証に対応していない場合は、必ず実施することをお勧めします。

Gmailをはじめとした各メールサービスは、送信者が身元を偽装していないか、正当性を確認するために送信ドメイン認証をチェックしています。現在利用されている送信ドメイン認証技術のうち、最も基本的で導入も容易なSPFは、対応していないとブロックされてしまう要因となります。SPFは、メール送信に利用するIPアドレス情報を「SPFレコード」としてDNSサーバーに設定するだけで導入が可能です。レンタルサーバーを利用している場合、サービスによっては標準でSPFレコードが設定されていることもあるので、利用している各サービスの案内に従って設定しましょう。

SPFについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。
SPFレコードの書き方とは?記述例を総まとめ | ベアメールブログ

メール配信システムを利用する

メールマガジンのような大量配信を行う場合は、専用のメール配信システムを利用することをお勧めします。

メール配信システムは、メルマガの作成・一斉送信・効果測定など効率的なメールマーケティングを実現するシステムです。HTMLメールの作成や宛先リスト管理、購読・解除機能、自動再配信、効果測定など豊富な機能が搭載されています。

また、メールを大量に送信する場合、メールサーバーのスペックが不足していたりすると配信が遅延してしまったり、大量送信をしているスパマーだと認識されてブロックされてしまうリスクがあります。メール配信システムは大量配信に適した配信基盤を備えているので遅延なく一斉送信ができ、レンタルサーバーでメール送信を行うよりも到達率も高められるでしょう。

メールリレーサービスを利用する

レンタルサーバー上で稼働しているWebサイトやシステムからの自動返信メールが届かないといった場合には、メールリレーサービスを利用することをお勧めします。

メールリレーサービスは、メール配信システムのようなメール作成機能や宛先管理機能などはなく、メールを確実かつ高速に配信することに特化したシンプルなサービスです。そのため、現状のWebサイトやシステムを変更したり移行したりする必要がなく、送信するメールをメールリレーサービスを経由させるだけで到達率を改善することができます。

メールリレーサービスは各メールプロパイダやキャリアからの信頼性(IPレピュテーション)が確保されており、大量配信に適した配信基盤と配信技術を備えています。そのためメールリレーサービスを中継することで、迷惑メール判定されるリスクを抑えることができるのです。

先述したGMOからGmailへのメールがブロックされた障害発生時は、ブラックリストに対して解除申請を行ってもなかなかブロックが解除されませんでした。その際の回避策としてメールリレーサービスを利用することで、早急にメールの到達率を改善し、業務を再開できたケースもあります。今の環境は変えず、すぐに到達率を改善したいという場合には最適なサービスだといえるでしょう。

まとめ

レンタルサーバーは構築に必要な手間やコストがかからず、手軽に独自ドメインでのメール配信ができます。しかし、大量のメール配信を行うには送信数の制限やIPアドレスのブロックの可能性など懸念点が少なくありません。より安全かつ確実なメール配信を行うには、大量のメール配信に対応したメール配信システムやメールリレーサービスの導入を検討するのがおすすめです。