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DMARCレポート解析ツールは無料で使える? OSSや、無料プランがあるサービスも紹介

Googleによる「メール送信者のガイドライン」では、1日5,000通以上配信する送信者へDMARCの対応を求めています。DMARCを導入すると、メール認証の状況を詳しく記載したレポートを受け取ることができます。このDMARCレポートで得られる膨大な情報を活用するためには、解析するための専用ツールが欠かせません。
本記事では、DMARCレポート解析ツールの概要から、無料で使える解析ツールの選択肢、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

DMARCレポート解析ツールとは

DMARCレポート解析ツールとは、DMARCが生成するレポートを解析し、自社ドメインを使用してメールを送信しているサーバーの情報や、送信したメールの認証状況を可視化するためのツールです。

DMARCレポートについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
DMARCレポートとは? 設定方法や集計レポートの読み方、解析ツールを解説 | ベアメールブログ

DMARCレポート解析ツールの必要性

DMARCレポートには集約レポートと失敗レポートの2種類が存在しますが、分析に利用するのは包括的な情報が記載されている集約レポートです。以降、本記事においてDMARCレポートとは集約レポートのことを指します。

DMARCを導入したら、DMARCポリシーを強化するためにもDMARCレポートを分析することは不可欠です。しかし、DMARCレポートはXML形式のファイルとして提供され、各メールサービスプロバイダから毎日届くことになるため、大量のファイルを人力で読み解くのは現実的ではありません。そのため、XMLファイルを集計・解析し、視覚化してくれる専用ツールを利用する必要があります。

DMARCレポート解析ツールの選択肢

DMARCレポート解析ツールを用意するには、以下の選択肢が考えられます。

1. 自前で構築する

自社のITリソースを活用し、DMARCのレポートデータを収集・解析する仕組みを独自に構築します。自社の要望に合わせて自由にカスタマイズすることができますが、構築には大幅な労力と時間がかかります。

2. OSSのツールを使用する

OSS(オープンソースソフトウェア)のDMARCレポート解析ツールを利用します。データの連携先や可視化の方法なども選択でき、1から開発するのに比べれば労力を削減できますが、OSSをインストールする環境を用意する必要があります。

3. 商用ソフトウェアを利用する

企業によって提供されている、有料のDMARC解析サービスを利用します。簡単な初期設定のみで、すぐにDMARCレポートの分析を始めることができます。

DMARCレポート解析ツールを無料で使いたい場合

まずはできるだけコストや手間をかけず、DMARCレポートの分析を始めたいと思う方が多いかもしれません。DMARCレポートの解析を無料で行いたい場合は、OSSを活用して分析環境を構築するか、有料のDMARC解析サービスの無料プランを利用するという手が考えられます。
次章から、OSSのツールと、無料プランがあるDMARC解析サービスについて、具体的なソフトウェアを挙げながら詳しく紹介していきます。

OSSのDMARCレポート解析ツール

OSSのDMARCレポート解析ツールには次のようなものがあります。

parsedmarc

parsedmarcは、DMARCレポートを集計・解析できるオープンソースのソフトウェアです。

DMARCレポートを読み込ませる方法としては、ローカルに保存したファイルを直接読み込ませるか、指定したメールサーバーからメールに添付されたファイルを取得させることも可能です。
解析済みのデータは、シンプルなJSONまたはCSV形式で出力できます。ElasticsearchやOpensearch、Splunkなどの外部ツールに保存することもできます。また、このデータをKibanaやGrafanaなどに連携することで、認証結果を視覚的にわかりやすくグラフやチャートで表示することも可能です。

parsedmarc「parsedmarc documentation – Open source DMARC report analyzer and visualizer」https://domainaware.github.io/parsedmarc/(2024/12/10確認)

dmarc-visualizer

dmarc-visualizerは、parsedmarcを利用してDMARCレポートを解析し、可視化するためのツールをまとめたものです。
Docker Composeを使用して、以下のコンポーネントを簡単にローカルで立ち上げられる設定を配布しています。

  • parsedmarc:DMARCレポートの集計と解析
  • Elasticsearch:解析されたデータの保存と検索
  • Grafana:データの視覚化

Dockerコンテナを利用することで、比較的簡単に導入や設定を行うことができます。parsedmarcによる解析からElasticsearchへの送信、Grafanaによる視覚化までの一連のプロセスをシームレスに連携して実行できます。

GitHub「debricked/dmarc-visualizer: Analyse and visualize DMARC results using open-source tools」https://github.com/debricked/dmarc-visualizer(2024/12/10確認)

OSSのメリット・デメリット

【メリット】

  • カスタマイズ性が高い

ソースコードが公開されており、必要に応じたカスタマイズが可能です。解析したデータの出力先も自由に選択でき、企業の独自ニーズや業務フローに合わせた調整がしやすいです。

  • 特定のベンダーに依存しない

ベンダーによるロックインを避けられるため、自社のインフラや他のシステムに柔軟に統合できます。

  • コスト効率とスケーラビリティ

管理するドメイン数やメール配信通数が多く、商用ソフトウェアの利用では高額なコストがかかる場合でも、コストを抑えてDMARCレポートを解析することが可能です。

【デメリット】

  • 運用負荷が発生

解析ツールをセットアップし、動かすためのサーバーを自社で用意し、構築・運用する必要があります。処理するDMARCレポートの数が多い場合、インフラの調整が必要になることもあります。

  • サポートが限定的

商用ソフトウェアと異なり、公式によるサポートチームがないため、問題が発生した場合も自己解決が求められます。また、バグやセキュリティが発生した場合も、修正が遅れる可能性があります。

  • 機能に制限がある

商用ソフトウェアと比べると、OSSは機能が限定されます。有償サービスが提供しているレポート生成機能や、エラーの分析機能、アラート機能などは用意されていません。

無料プランがあるDMARCレポート解析サービス

商用ソフトウェアの無料プランでも、DMARCレポートの解析を行えます。例えば次のようなものがあります。

PowerDMARC

無料プランでは基本的なDMARCレポートのモニタリングが可能です。集約レポートや失敗レポートを通じて、メールの認証状況を把握できます。

無料プランの提供内容

  • 個人利用目的のみ
  • 対象ドメイン:1ドメイン
  • ユーザ数:1
  • データ保存期間:10日間
  • 処理可能な通数:月間10,000件まで

無料プランは個人の場合のみ利用可能な点に注意が必要です。データの保存期間やメール通数に制限があり、詳細な解析や高度な機能は利用できないため、企業としてDMARCレポートの運用に取り組む場合は有償プランへの移行をおすすめします。

Power DMARC「月額8ドルからのDMARC料金|DMARCアナライザー」https://powerdmarc.com/ja/power-dmarc-pricing-policy/(2024/12/10確認)

EasyDMARC

無料プランでは集計レポートのモニタリングのみが可能で、基本的な認証状況の確認を行えます。

無料プランの提供内容

  • 個人利用目的のみ
  • 対象ドメイン:1ドメイン
  • ユーザ数:1
  • データ保存期間:14日間
  • 処理可能な通数:月間1,000件まで

こちらも同じく無料プランは個人の場合のみ利用可能です。メールの通数制限がかなり少ないため、小規模な環境での利用に限られます。また、失敗レポートの分析や送信元IP管理、アラート機能などは、有償プランのみ利用できます。

EasyDMARC「DMARC Report Reader, Analyzer – Free & Paid Pricing Plans」https://easydmarc.com/pricing/easydmarc/businesses(2024/12/10確認)

dmarcian

無料プランでは基本的な集計レポートのモニタリングに加え、TLS通信のレポーティングが利用可能です。

無料プランの提供内容

  • 個人利用目的のみ
  • 対象ドメイン:2ドメイン
  • ユーザ数:1
  • データ保存期間:1ヶ月
  • 処理可能な通数:月間1,250件まで

こちらも無料プランは個人の場合のみ利用可能となっています。有償プランでは、アラート機能や失敗レポートの解析などが利用可能になります。

dmarcian「Pricing – dmarcian」https://dmarcian.com/pricing/(2024/12/10確認)

商用ソフトウェアの無料プランのメリット・デメリット

【メリット】

  • 導入のハードルが低い

OSSと比較して、自社で環境を構築する必要がないため、簡単な初期設定だけですぐに利用することができます。

  • 直感的なインターフェース

自分で可視化のツールを用意する必要があるOSSと比較して、商用ソフトウェアは洗練されたダッシュボードやレポート機能を標準で利用可能です。

  • 有償契約前に操作性を確認できる

無料プランを活用することで、本契約前にツールの使い勝手や機能面を試せるため、自社のニーズに適しているか評価できます。

【デメリット】

  • 基本的に個人利用目的のみ

無料プランは個人利用のみに制限されているケースが多く、ビジネスユースには向きません。

  • 処理可能なメール通数やデータ保存期間に制限がある

無料プランは処理できるメール通数に制限があり、上限を超える分については対応できない場合があります。またデータの保存期間もかなり短く設定されており、長期的な解析には向いていません。

  • 機能に制限がある

無料プランは機能が制限されており、上位プランの高度な機能は利用できないことが多いです。

まとめ

DMARCレポートを効率的に分析するには、解析ツールの利用がおすすめです。OSSや商用ソフトウェアの無料プランを活用すれば、コストを抑えてDMARCレポートの解析を始めることができます。
しかし、これらには機能制限などのデメリットもあるため、より高度な解析や使いやすさを求める場合は、有償サービスの利用も検討してみてください。

ベアメールが提供する迷惑メールスコアリングのDMARC分析なら、誰でも簡単にDMARCレポートが解析できます。DMARCレポートの可視化だけでなく、送信元IPアドレスの管理や、複数の観点での分析、指定した条件で通知するアラート機能などを備えており、DMARCポリシーを強化するための対応の効率化が可能です。

無償トライアルも可能なため、DMARC解析ツールをお探しであればぜひお気軽にお問い合わせください。

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