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最終更新日:2026.03.31
会員登録時の確認メールやパスワードリセット通知、ECサイトの注文確認メールなど、システムからメールを送信する仕組みの実装方法として、メール送信APIが注目されています。メール送信APIを利用すれば、Webアプリケーションや業務システムからAPIを通じてメール送信処理を実行でき、メールサーバーの構築や管理の手間を軽減できます。
本記事では、メール送信APIの仕組みやSMTPとの違い、利用するメリットを解説します。また、API連携に対応したメール配信サービスの選び方や代表的なサービス、導入手順についても紹介します。
目次
メール送信APIとは
メール送信APIとは、Webアプリケーションや業務システムなどの外部システムから、APIを通じてメール送信処理を実行できる仕組みです。
近年では、システムから自動送信されるトランザクションメールや、顧客の行動と連動して送信されるマーケティングメールなど、様々な用途でメール送信APIが利用されています。
APIでメールを送信する仕組み

メール送信APIでは、アプリケーションからAPIエンドポイントに対してHTTPリクエストを送信することで、メール送信処理を実行します。APIエンドポイントとは、APIを利用する際に、特定の機能やサービスにアクセスするためのURI(※)のことです。
送信先メールアドレスや件名、本文などの情報をリクエストデータとして送信すると、APIを提供するサーバー側でメールの作成や送信処理が行われます。
※URI(Uniform Resource Identifier):インターネット上のリソースを識別するための識別子。URLはURIの一種。
SMTPとの違い
メール送信機能を実装する際、SMTPとメール送信APIのどちらを利用するべきか迷うケースも多いのではないでしょうか。いずれもメールを送信する方法ですが、仕組みや用途に違いがあります。
項目 SMTP API 概要 メール送信・転送のための標準プロトコル メール送信サービスをHTTP経由で呼び出すためのインターフェース 送信方法 SMTPサーバーに接続し、SMTPコマンドをやり取りして送信する HTTPリクエストでメール送信サービスに送信処理を依頼する 実装方法 標準ライブラリで利用できるが、認証や接続管理などを考慮する必要がある HTTPベースで実装できるが、サービスごとのAPI仕様や認証方式の理解が必要 通信ポート 25/465/587などSMTP用ポートの解放が必要な場合がある HTTPS(443)で通信できる 向いているケース 既存のSMTP送信環境を活かしたい場合、アプリ改修を最小限にしたい場合 アプリケーションと密接に連動させたい場合、送信後イベントも含めてシステム連携したい場合
SMTPはメールを送信および中継するための標準的なプロトコルであり、SMTPサーバーに接続してコマンドをやり取りすることでメールを送信します。既存のメールサーバーやメールソフトとの互換性が高く、すでにSMTPサーバーを利用したメール送信環境がある場合や、既存システムの設定をそのまま活用したい場合に適しています。
一方、メール送信APIはHTTPリクエストを通じてメール送信処理を呼び出すインターフェースで、内部ではSMTPを利用してメール配送が行われます。Webアプリケーションや業務システムと連携しやすく、送信処理やレスポンスをプログラムから扱いやすい点が特徴です。そのため、新規システムの開発や、アプリケーションから直接メール送信処理を制御したい場合に利用されることが多くなっています。
このように、SMTPとメール送信APIはそれぞれ特徴が異なるため、目的や送信環境に応じて使い分けるとよいでしょう。
API連携可能なメール配信サービスを利用するメリット
メール送信APIを利用すると、アプリケーションや業務システムからのメール送信を行いやすくなります。ここでは、API連携可能なメール配信サービスを利用する主なメリットについて解説します。
システムの処理と連動したメール送信を実装できる
HTTPリクエストによってメール送信サービスを呼び出せるため、アプリケーションや業務システムの処理と連動させたメール送信を実装しやすい点が特徴です。会員登録時の確認メールやパスワードリセット通知、ECサイトの注文確認メールなど、ユーザの操作やシステムの処理をトリガーとして、メールを自動送信できます。
テンプレートや差し込み機能を利用しやすい
多くのメール配信サービスでは、あらかじめ件名や本文のひな型を登録できるテンプレート機能や、宛名などの差し込み機能が提供されています。こうした機能を活用することで、トランザクションメールやマーケティングメールを効率的に作成できます。
顧客データと連携しやすい
顧客管理システム(CRM)や自社のデータベースなどと連携し、顧客データを活用したメール配信を行いやすい点も特徴です。例えば、ユーザの登録情報や購買履歴、サイト上での行動データなどを基に、特定の条件に該当するユーザへメールを配信することができます。
送信結果をシステムに連携して活用しやすい
配信結果やバウンス、迷惑メール報告などの情報を取得できます。また、サービスによっては開封やクリックといったイベント情報も取得可能です。Webhookを利用し、これらの情報をシステムと連携することで、エラー対応やマーケティング施策の改善に活用できます。
API連携可能なメール配信サービスを選ぶ際のポイント
メール送信APIに対応した配信サービスは数多く提供されており、それぞれAPIの仕様や機能、料金体系などに違いがあります。そのため、自社のシステム環境やメール配信の用途に合ったサービスを選ぶことが重要です。
ここでは、API連携可能なメール配信サービスを選定する際に押さえておきたい主なポイントを解説します。
既存システムと連携しやすいAPI仕様か
まず、自社のシステムと連携しやすいAPI仕様であるかを確認することが重要です。対応しているプログラミング言語やAPIのリクエスト形式、認証方式などはサービスによって異なります。
各サービスが公開しているAPI仕様書などを事前に確認し、自社の技術要件に合っているかをチェックすることで、実装の手間や開発コストを抑えることができます。
必要な機能が備わっているか
サービスによって、利用できる機能は異なります。自社の配信目的や運用方法を踏まえ、必要な機能が揃っているサービスを選ぶことで、よりスムーズに運用できるようになります。
メール送信APIで利用できる機能の例としては、以下のようなものがあります。
送信時に利用できる機能
- 送信先、件名、本文、差出人、CC/BCC、返信先などの基本項目の指定
- テキストメール/HTMLメールの指定
- ファイルやインライン画像の添付
- テンプレートの指定
- 差し込み用データによる本文の個別化
- 送信時刻の指定などの制御
送信後に利用できる機能
- 配信結果やバウンス、迷惑メール報告などのデータ取得
- 開封やクリックなどのイベントの取得
- Webhookによる送信後イベントのリアルタイム連携
- 送信済みメッセージの詳細やログの検索・参照
- 抑止リストや配信停止対象の情報取得・管理
開発や操作がしやすいか
開発者向けのドキュメントが充実しているかも重要なポイントです。APIの仕様や利用方法が分かりやすく整理されていれば、API連携の実装や設定をスムーズに進めることができます。
料金体系が自社の利用状況に合っているか
初期費用や料金体系も確認しておきましょう。サービスによって、月額料金や送信通数に応じた従量課金など、さまざまな料金プランが用意されています。
特に、大量のメール配信や頻繁なAPI利用が発生する場合は、送信通数やAPI利用回数(APIコール数)の上限、超過した場合の追加料金などを事前に確認しておくことが大切です。無料トライアルを利用し、自社の利用規模でコストに見合った効果が得られるかを確認するのもよいでしょう。
サポート体制が整っているか
サポート体制が整っているかも重要なポイントです。API連携の設定やメール配信に関するトラブルが発生した場合、自社だけで原因を特定するのが難しいケースもあります。
問い合わせ方法(メール・電話・チャットなど)やサポートの対応時間、技術的な問い合わせに対応しているかなどを事前に確認しておくと安心です。また、海外サービスの場合は日本語サポートの有無も確認しておくと、トラブル発生時の対応をスムーズに進めることができます。
セキュリティ対策が十分か
セキュリティ対策が十分に行われているかも確認しておきたいポイントです。メール配信では顧客のメールアドレスや配信データなどを扱うため、情報漏えいや不正アクセスを防ぐための対策が重要になります。
例えば、通信の暗号化(SSL/TLS)や管理画面へのアクセス制御、操作ログの管理など、基本的なセキュリティ機能が備わっているかを確認しておくと安心です。また、ISO27001などの第三者認証の取得状況や、官公庁・企業での導入実績なども、サービスの信頼性を判断する際の参考になります。
API連携可能なメール配信サービス7選
APIに対応した主なメール配信サービスを紹介します。サービスによって、APIの仕様や料金体系、利用できる機能などが異なるため、自社のシステム環境や配信用途に合ったサービスを選びましょう。
主なメール配信サービス一覧
サービス名 初期費用 月額料金 サポート 公式サイト ベアメール メールリレーサービス 50,000円 5,000円/10,000通〜 あり(電話・メール・オンライン) https://baremail.jp/mailrelay/top/ blastengine 無料 3,000円/10,000通〜 あり(電話・メール) https://blastengine.jp/ SendGrid 無料 3,000円/50,000通〜 あり(Webフォーム) https://sendgrid.kke.co.jp/ Amazon SES 無料 従量課金制:0.10USD/1,000通 AWSサポート(個別サポートは有料) https://aws.amazon.com/jp/ses/ Customers Mail Cloud 問い合わせ 問い合わせ あり https://smtps.jp/ Webcas e-mail 30,000円〜 10,000円〜(通数制限あり) あり(電話・メール・対面・オンライン) https://www.webcas.jp/email/ Cuenote SR-S 50,000円〜 27,000円〜(数通制限あり) あり https://www.cuenote.jp/sr-s/
ベアメール メールリレーサービス
ベアメール メールリレーサービスは、株式会社リンクが提供するSMTPリレー対応のメールリレーサービスです。通常プランに「Web APIオプション」を追加することで、システムやアプリケーションからAPIを利用したメール送信が可能になります。
Web APIオプションでは、一括送信や宛名差し込み、予約配信などの機能を利用できる他、ワンクリック登録解除の実装にも対応しています。導入から運用開始後まで、顧客に寄り添った手厚いサポートも特徴です。
項目 内容 初期費用 50,000円 月額料金 5,000円/10,000通〜 サポート あり(電話・メール) 公式サイト https://baremail.jp/mailrelay/top/
blastengine
blastengineは、株式会社ラクスライトクラウドが提供するメール配信サービスです。API連携とSMTPリレーの両方に対応しており、システム構成や用途に応じてメール送信方法を選択できます。
APIドキュメントやサンプルコードが公開されており、アプリケーションからのメール送信を実装しやすい点も特徴です。
項目 内容 サービス名 blastengine 初期費用 無料 月額料金 3,000円/10,000通〜 サポート あり(電話・メール) 公式サイト https://blastengine.jp/
SendGrid
SendGridは、Twilio社が提供するクラウド型のメール配信サービスです。全てのプランでWeb APIを利用でき、システムやアプリケーションからメールを送信できます。
HTMLメールの作成、パーソナライズ配信、A/Bテスト、配信結果の分析など、メールマーケティングを支援する機能も提供されています。
項目 内容 サービス名 SendGrid 初期費用 無料 月額料金 3,000円/50,000通〜 サポート あり(Webフォーム) 公式サイト https://sendgrid.kke.co.jp/
Amazon SES
Amazon SES(Amazon Simple Email Service)は、AWS(Amazon Web Services)が提供するクラウド型のメール配信サービスです。APIを利用して、システムやアプリケーションからメールを送信できます。
AWSの各サービスと連携できる点が特徴です。料金は従量課金制で、1,000通あたり0.10USDから利用できます。また、AWS無料利用枠の一部として、SES利用開始後の最初の12ヶ月間は毎月最大3,000件のメッセージ料金が無料となります。
項目 内容 サービス名 Amazon SES 初期費用 無料 月額料金 従量課金制:0.10USD/1,000通 サポート AWSサポート(個別サポートは有料) 公式サイト https://aws.amazon.com/jp/ses/
Customers Mail Cloud
Customers Mail Cloudは、HENNGE株式会社が提供するクラウド型のメール配信サービスです。SMTPリレーとAPIの両方に対応しており、システムやWebサービスと連携してメール送信を行うことができます。
独自の配信エンジンにより携帯キャリアやISP宛のメールも高速かつ確実に届けられる点が特徴で、送信ログの検索や配信状況の確認、エラー解析などの管理機能も提供されています。
項目 内容 サービス名 Customers Mail Cloud 初期費用 問い合わせ 月額料金 問い合わせ サポート あり 公式サイト https://smtps.jp/
Webcas e-mail
Webcas e-mailは、株式会社WOW WORLDが提供するメール配信システムです。毎時1,000万通以上の高速配信性能を持ち、大手企業や官公庁などにも導入されています。
大量一斉配信向けのメール配信APIが提供されており、外部システムと連携したメール送信が可能です。その他、顧客データを活用したパーソナライズメール配信やHTMLメール作成機能など、メールマーケティングを支援する機能も提供されています。
項目 内容 サービス名 Webcas e-mail 初期費用 30,000円〜 月額料金 10,000円〜(通数制限あり) サポート あり(電話・メール・対面・オンライン) 公式サイト https://www.webcas.jp/email/
Cuenote SR-S
Cuenote SR-Sは、ユミルリンク株式会社が提供するメール配信サービスです。APIやSMTPリレーを利用して、高速かつ安定したメール配信を行うことができます。
配信エラーの解析機能やログ管理機能を備えており、メール配信の状況確認やトラブル対応を行いやすい点も特徴です。
項目 内容 サービス名 Cuenote SR-S 初期費用 50,000円〜 月額料金 27,000円〜(通数制限あり) サポート あり 公式サイト https://www.cuenote.jp/sr-s/
API連携可能なメール配信サービスの導入手順
最後に、API連携可能なメール配信サービスを導入し、実際に配信を開始するまでの基本的な流れを解説します。サービスによって細かい手順は異なるため、詳細については各サービスの案内を確認してください。
1. アカウントを作成してAPIキーを発行する
まずは、メール配信サービスのアカウントを作成します。アカウント登録が完了すると、多くのサービスではAPI連携に必要なAPIキーを発行できます。
APIキーは、アプリケーションからAPIを利用する際の認証情報として使用されるため、外部に漏れないよう適切に管理することが重要です。発行したAPIキーは、次のAPI連携の設定で使用します。
2. API連携を実装する
次に、発行したAPIキーを利用して、自社のアプリケーションや業務システムからメール送信APIを呼び出す設定を行います。多くのサービスでは、API仕様書やサンプルコードが公開されており、それらを参考にすることでAPI連携を実装できます。
送信先メールアドレスや件名、本文などの情報をリクエストデータとしてAPIに送信することで、システムからメール送信処理を実行できるようになります。実装方法の詳細については、各サービスのAPIドキュメントを確認してください。
3. テスト配信で動作を確認する
API連携の実装が完了したら、本番運用を開始する前にテスト配信を行い、正常にメールが送信されるかを確認します。送信先メールアドレスや件名、本文が正しく設定されているか、エラーが発生していないかなどをチェックしましょう。
また、実際に受信したメールの表示内容や文字化けの有無なども確認しておくと安心です。問題がないことを確認できたら、本番環境でのメール配信を開始します。
まとめ
本記事では、メール送信APIの仕組みやSMTPとの違い、メリットについて解説しました。
API連携可能なメール配信システムを利用することで、アプリケーションや業務システムから直接メールを送信しやすくなります。自社のシステム環境やメール配信の用途に合わせて、適切なサービスを選定し、API連携によるメール配信を活用してみてください。
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