CASE STUDIES 導入事例
学校法人 河合塾
迷惑メールスコアリングの診断とDMARC分析機能で、
多岐にわたるメール送信環境の適正化を実現
導入前の課題
- 共通テストリサーチの際、受験生への重要なメールが届かないという問題が発生。河合塾グループ全体でのGmail送信者ガイドラインへの対応が急務に。
- グループ内の各法人がさまざまなドメインを使用してメールを送信していたため、状況の把握や問題への対応が困難だった。
- Gmailガイドラインへの対応を進めるためにも、DMARCレポートを分析するためのツールと専門家による支援が必要だった。
導入後の効果
- 迷惑メールスコアリングのDMARC分析機能により、送信環境の可視化と問題の洗い出しを実現できた。
- 迷惑メールスコアリングの診断で詳細な問題点を明らかにすることで、グループ各社の担当者に対して対応すべき箇所をクリアに説明できた。
- プレミアムサポートによってレポートの分析や対策のアドバイスを受けられたことで、順調にガイドラインへの対応や送信環境の適正化を進められた。
customer's voice
共通テストリサーチでメールが受験生に届かないという事象が発生し、
Gmail送信者ガイドラインへの対応の必要性を改めて実感。
河合塾さまの事業について教えてください。
前中氏
河合塾グループは「進学教育事業」「教育活動支援事業」「教育研究開発活動」の3つの事業·活動を柱に、新たな教育価値を社会に提供しています。
学校法人河合塾をはじめとする2つの学校法人、グループ本社である株式会社KJホールディングスや事業会社19社、機能会社2社、海外法人4社、2つの財団法人によりグループを構成しています。
幼児から社会人まで10万人以上もの生徒が、全国500カ所以上の校舎·教室で学び、全国屈指の母集団を誇る「全統模試」の年間のべ受験者数は約266.1万人(2023年度実績)に及びます。
おふたりの役割についてお聞かせください。
前中氏
IT戦略推進部の部長として情報システムの開発や運用管理、そして教育サービスのIT化を担当しています。
井上氏
前中と同じ部署であるIT戦略推進部の統括チーフです。システム企画や運用の責任を担っており、最近ではAIやChatGPTを活用した研究開発も行っています。
メールの内容、件数、宛先などの活用状況について教えてください。
井上氏
主に模試の受験生や塾生、そして入塾の可能性のある生徒などに対し、月に200万~300万通のメールを送信しています。メールの種類はプロモーションとトランザクションに分けられます。
プロモーションメールとしては、受験情報のメールマガジン「Kei-Net Success Mail」を月に4回程度送信します。その他、入塾案内や講習のお知らせ、各校舎からイベントのお知らせを個別で送る場合もあります。
トランザクションメールで一番大きいのは、模擬試験の受付メールや受験番号のお知らせです。通常の講習の登録確認や、各校舎から台風時の休講通知といったメールなどもあります。
なかでも、毎年1月に実施される「共通テストリサーチ」は、共通テストの受験生の合否判定や大学合格の可能性を判断するための大規模なイベントです。受験生の約8割にあたる39万人以上の受験生に対してメールを送信します。
当時、どのような課題が発生したのでしょうか。
前中氏
Gmailの送信者に対する規制強化※が進む中、河合塾の特に重要なサービスである1月の共通テストリサーチでメールが受験者に届かないという問題が発生しました。
一番顕在化してほしくないタイミングでしたので、塾全体に緊張が走りました。
井上氏
まだGmailのガイドライン適用前にも関わらず起きてしまったので、「今後ガイドラインが強化されたら本当にメールが届かなくなるぞ」と、本腰を入れて取り組む必要性を感じました。
Gmailの利用者が配信先の4割を占めていたので、そのお客さまに対してメールが届かなくなるということはマーケティング的にも非常に大きな影響があると考えましたし、経営層にもこの課題をすぐ共有しました。とにかく、Gmailガイドラインへの対応を急ぎましたね。
どのように調査、対応を進めたのでしょうか。
井上氏
まずは全容を把握するため、河合塾グループの各法人に対して、どういったメールをどのルートで送信しているのかアンケート形式で調査しました。われわれが把握しているルートもあれば、把握していないルートやクラウドサービスからも送信していることがわかってきました。同時に、SPF、DKIM、DMARCの対応状況というのも洗い出せたので、アンケート結果をもとに迅速に対応を進めていきました。
前中氏
アンケートを通じて、グループ全体で利用しているドメイン数としては50個ほどあることが明らかになりました。各法人で取得した独自ドメインについては各自にお任せすればいいのですが、「kawaijuku.jp」、「kawai-juku.ac.jp」という共通ドメインを使っている法人もそれなりにあるということが発覚しました。DMARCの対応を進めていくためには、これらの代表ドメインを、どの法人がどのように利用しているかという把握が非常に重要なポイントでした。
サービス導入の経緯について教えてください。
井上氏
Gmailガイドラインの要件を満たすために、まずは現状把握と整理が焦点になっていました。その際にGoogle Postmaster Toolsやmail-testerなども使いましたが、やはりDMARCを設定して分析していかなければということで、DMARCの分析ができるツールを探すことになりました。無償で利用できるオープンソースのツールという選択肢も上がったのですが、流石にハードルが高いと断念しましたね。
ベアメール(迷惑メールスコアリング・DMARC分析機能)を知ったきっかけについて教えてください。
前中氏
以前から、Gmailのガイドラインへの対応についてリサーチを進めていました。その時に、ベアメールのブログを見つけたのがきっかけです。DMARC、SPFやDKIMなどの情報がわかりやすく解説されていると思いましたね。ホワイトペーパーも役立つ内容で、とても参考にさせていただきました。
調べて行く中で、SPF、DKIM、DMARCなどの設定については問題ないと思ったのですが、その後の監視や運用についてどうすべきか悩んでいました。ベアメールであれば、DMARC分析の機能に加えて、迷惑メールスコアリングで継続的な診断や監視ができるということを知り、ぜひ試してみようという流れでした。
ベアメールを選定された決め手を教えてください
井上氏
DMARCの分析機能と迷惑メールスコアリングがセットで提供されている点ですね。DMARC分析のサービスはいくつか検討したのですが、やはり迷惑メールスコアリングのようなサービスは他にはありませんでしたので。
前中氏
トライアルで実際に迷惑メールスコアリングの診断結果を見て、「ここまでわかるんだ」という気付きも大きかったです。どこが問題なのか、視覚的にパッと把握できるという点が非常によかったです。
customer's voice
迷惑メールスコアリングのDMARC分析機能と診断機能を活用し、
グループ全体のメール配信環境を健全化
実際に導入いただいて、DMARC分析と迷惑メールスコアリングはどのように活用されているのか、詳しくお聞かせいただけますか。
井上氏
DMARC分析機能で問題のある環境を洗い出して、迷惑メールスコアリングの診断で詳細な問題点を明らかにする、という使い方をしています。
迷惑メールスコアリングの診断結果は非常に明快でわかりやすいため、ITに詳しくないスタッフに対しても、対応すべき箇所をクリアに説明できる点が魅力的です。グループ各社の担当者への説明に非常に役立っています。
前中氏
送信メールの問題点を見える化できたのは非常に大きいですね。メールが届かないという問題が起きたとしても、迷惑メールスコアリングの診断で問題点を明らかにできるので、次の打ち手が明確になるのは助かります。
井上氏
あとは今後、新システムをリリースしたタイミングでのメール送信チェックにも利用する予定です。設定漏れやミスなどがないように、必ず迷惑メールスコアリングで診断してチェックする活動ができたらいいなと。DMARCレポートを分析して、なりすましメールなど脅威の発見はありましたか?
井上氏
ありましたね。DMARCレポートを分析する中で、河合塾のドメインをかたって海外からなりすましメールが送信されていることが発覚しました。河合塾のドメインを悪用され、顧客にフィッシングメールなどの脅威が及ぶリスクがあるのだなと改めて実感しました。今後DMARCポリシーを強化することで対抗していかなければいけないと考えています。
迷惑メールスコアリングを導入することで、導入前の課題は解決できましたか?
井上氏
はい、まだ100%ではないですけれど、河合塾グループ全体でのメール送信環境の健全化に向けて確実に前進していると実感しています。
2024年2月、4月、6月の3段階に分けて、Gmailガイドラインへの対応を進めました。SPF・DKIM・DMARCの実装や、プロモーションメールに対するList-Unsubscribe(ワンクリック購読解除機能)の実装など、優先度に応じて1つ1つ実施していきました。
順調に対応を進められたことで、メールの不達という問題は現状発生していませんし、被害を未然に防止できたと感じています。
前中氏
今はDMARCポリシーのレベルは「none」でいいとされていますが、将来的には「quarantine」(隔離)や「reject」(拒否)への強化が求められるようになるのだろうと考えています。
そのため、「reject」のポリシーを適用できるように、できるだけ早く河合塾グループ全体のメール送信環境を正しい状態に持っていきたい。そのためにも、迷惑メールスコアリングとDMARC分析、プレミアムサポートは非常に重要なものになると捉えています。
プレミアムサポートを契約いただいた決め手と、導入後の活用状況についても教えてください。。
前中氏
DMARC分析ツールの導入時点から、プレミアムサポートは必須だろうと思っていました。分析ツールを使う上で、評価・解析をしてくれる専門家による支援が必要だと考えていましたので。
毎月定例のミーティングで、DMARCレポートを通じた送信環境の精査や、DMARC認証エラーの改善のための支援をいただいています。特に、個別の事象に関してのパターン分析や、先月との比較などのレポートや個別のアドバイスをいただけるのがありがたいです。
井上氏
サポートを受けてよかったのは、ガイドラインへの準拠やDMARC対応を進める上での良い指針を得られたことです。他社の事例や最新の業界動向などの情報をいただくことで、自分たちの対応レベルを客観的に知ることができて、そしてどのレベルを目指していくべきかということが明確になりました。
こちらの対応の進捗も見ながら、プロの立場から的確なアドバイスをいただけるので順調に対策を進められたと感じています。
また、料金も大変リーズナブルだと思います。月10万円で毎月レポートの分析に加え、原因の推測や対策のアドバイスなど、定例のミーティングで顔を合わせて話ができるというのは、非常にお手頃だなと感じています。
DMARC分析ツールを検討中の企業へ、おすすめポイントを教えてください。
井上氏
繰り返しになりますが、おすすめポイントは迷惑メールスコアリングの診断機能ですね。他のDMARC分析サービスにはない強みだと思います。
DMARC分析に関しては、送信環境を管理する「タグ付け機能」を有効活用しています。
あとは何よりプレミアムサポートですね。毎月の定例会議で、対策状況、トレンド、他社事例などの有用な情報をいただける点です。これほどの支援がリーズナブルな価格で提供されているということは、サービスとして大変強いものがあるのではないかと思います。似たような状況の企業にはぜひお勧めしたいです。
前中氏
おそらく情報システム部門の方向けになると思いますが、組織ドメインの利用が想定以上に広がっているケースというのが多々あると思います。一担当部署だけで状況確認を全て行うのはかなり骨が折れる作業で、それだけで忙殺されかねないと思います。そんな時に使える武器は何かとなると、ベアメールというのは一つの答えだと言えると思います。
ありがとうございます。最後に、今後の取り組みを教えてください。
井上氏
今日はSNSも隆盛ですが、一私企業が運営するプラットフォームは突然方針が変わってしまうこともありますし、やはりメールは今後もお客さまとのコミュニケーション手段として継続して活用していくことになるだろうと思います。
その一方で、ドメインを悪用するなりすましメールの脅威などもあるため、メールを安定的に使い続けるための管理の重要性が増していくと考えています。引き続きベアメールも活用しながら、メール配信環境の整備を進めていきたいですね。
前中氏
今後も、お客さまにも、お客さまになっていない方にもメールを届けるために取り組んでいきたいと思います。お客さまになっていない方にも発信するというのは、私どもが教育サービスを提供する事業体だからです。国における教育の力というのは大変重要だと考えております。だからこそ確実にメールを届けるために、引き続き送信者に求められるルールに則り、より安全なメール運用を目指していきます。
- 企業名
- 学校法人 河合塾
- 代表
- 理事長 河合英樹
- 設立
- 1955年
- 本社所在地
- 愛知県名古屋市千種区今池2-1-10
- 事業内容
- 教育事業(高卒生・高校生・中学生・小学生・幼児)、学校向け教育活動支援事業、教育の研究・開発