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BIMIは、メールの受信画面に企業やブランドのロゴを表示するための仕様です。受信者が送信元を視覚的に確認しやすくなり、ブランド認知やメールの信頼性の向上につながる仕組みとして注目されています。
BIMIを導入するには、送信ドメイン認証の整備やロゴ画像の準備、BIMIレコードのDNS設定などが必要です。本記事では、BIMIのメリットや仕組みを紹介したうえで、具体的な設定手順やBIMIレコードの書き方、設定後の確認方法まで、分かりやすく解説します。

目次
BIMIとは
BIMIとは「Brand Indicators for Message Identification」の略で、対応するメールサービスの受信トレイにおいて、企業やブランドのロゴを表示するための仕様です。
BIMIを導入するには、SPF・DKIM・DMARCといった送信ドメイン認証を適切に設定し、DMARCポリシーを一定の水準まで引き上げる必要があります。さらに、規定に沿ったロゴ画像を用意し、その参照先などを記載したBIMIレコードをDNSに設定します。

BIMIの役割
BIMIの主な役割は、送信元の企業やブランドをロゴによって視覚的に示すことです。受信トレイにブランドロゴが表示されることで、受信者がメールの送信元を識別しやすくなり、ブランド認知やメールの信頼性の向上につながります。
BIMIに対応しているメールサービス
主なメールサービスのBIMIへの対応状況は、以下の通りです。なお、BIMIの対応を検討中、または非対応のサービスでも、独自の仕組みによってブランドロゴを表示している場合があります。
メールサービス BIMIへの対応状況 Gmail 対応 iCloud.com 対応 auメール 対応 ドコモメール 対応 Zoho mail 対応 Fastmail 対応 COMCAST 対応 Yahoo! メール(日本) 対応を検討中 BT Mail 対応を検討中 QUALITIA 対応を検討中 Outlook・Exchange Online 非対応
参考:BIMI「BIMI Support by Mailbox Provider」 https://bimigroup.org/bimi-infographic/ (2026/8/3 確認)
Gmailでは、2023年5月にBIMIの表示機能が拡張され、VMCによってロゴが検証された送信者のメールに青いチェックマークアイコンが表示されるようになりました。チェックマークは、受信者が正規の送信者からのメールを識別する際の手がかりとなります。

画像引用元:Google Workspace Updates「Expanding upon Gmail security with BIMI」https://workspaceupdates.googleblog.com/2023/05/expanding-gmail-security-BIMI.html
BIMIを導入するメリット
BIMIを導入することによって得られるメリットには、以下のようなものがあります。
ブランド認知が高まる
受信トレイにブランドロゴが表示されることで、メールの視認性が高まり、受信者にブランドを認識してもらいやすくなります。
また、BIMIでブランドロゴが表示されることで、受信者に正規の企業から届いたメールであるという安心感を与えやすくなります。送信元が適切に管理されているという印象にもつながり、ブランドへの信頼感やイメージを高める効果が期待できます。
メールの開封率向上が期待できる
受信トレイにブランドロゴが表示されることで、メールが受信者の目に留まりやすくなり、開封率向上が期待できます。
2021年にEntrustとRed Siftが米国と英国の1,026人を対象に実施したユーザテストでは、ブランドのメールにロゴが表示され、競合ブランドのメールには表示されていない場合、受信トレイ内で開封対象として選ばれる割合が米国で21%、英国で39%増加しました。さらに、この傾向は市場でのシェアやブランドの規模にかかわらず確認されたと報告されています。
参考:Red Sift「Consumer Interaction with Visual Brands in Email ~Does logo visibility translate into market value?」https://red-sift.cdn.prismic.io/red-sift/4624a113-815a-41e6-813e-d71dde7eaf23_Consumer+Interaction+with+Visual+Brands+in+Email.pdf(2026/8/3 確認)
なりすまし対策の強化につながる
なりすましメールによる被害は、受信者だけでなく、ドメインを悪用された企業の信用やブランドイメージにも影響を及ぼします。
BIMIを導入するには、SPF・DKIM・DMARCを適切に設定し、DMARCポリシーをquarantineまたはrejectに引き上げる必要があります。そのため、BIMIの導入は、自社ドメインを悪用したなりすましメールへの対策を強化することにつながります。
BIMIの仕組み
BIMIを導入するための具体的な手順を説明する前に、導入に必要な要素と、受信トレイにブランドロゴが表示される仕組みについて解説します。
BIMIに必要な4つの要素
BIMIを導入するためには、主に以下の4つの要素を準備する必要があります。本記事では、ロゴの証明書としてVMCを利用する場合を前提に解説します。
- 送信ドメイン認証
SPF・DKIM・DMARCを適切に設定し、 DMARCポリシーをquarantineまたはrejectまで引き上げます。 - BIMIに対応したロゴ画像
BIMIの仕様に準拠したSVG形式のロゴ画像を用意します。 - ロゴの証明書
ロゴを商標登録したうえで、その正当性を証明するVMCを取得します。 - BIMIレコード
ロゴ画像やVMCの参照先を記載したBIMIレコードをDNSに設定します。
それぞれの要件や具体的な設定手順については、後ほど詳しく解説します。
BIMIでロゴが表示される仕組み
BIMIでは、送信側がドメインのDNSにBIMIレコードを設定し、ロゴ画像やVMCの参照先を公開します。受信側のメールサービスは、送信ドメイン認証の結果やBIMIレコードの内容を確認し、要件を満たしている場合にブランドロゴを表示します。
ここでは、メールが送信されてから受信画面にロゴが表示されるまでの流れを解説します。

- ステップ1:メールを送信する
- 送信元から受信者に向けてメールを送信します。
- ステップ2:送信ドメイン認証を行う
- 受信側のメールサーバーは、受信したメールに対してSPF・DKIM・DMARCによる認証を行います。
- ステップ3:BIMIレコードを確認する
- DMARC認証に成功し、送信元ドメインのDMARCポリシーがquarantineまたはrejectに設定されている場合、受信側はヘッダFromのドメインに対応するBIMIレコードを確認します。
- ステップ4:VMCを検証する
- BIMIレコードが設定されている場合、受信側はレコードに記載されたURLからVMCを取得し、有効であるかを検証します。
- ステップ5:SVG形式のロゴ画像を抽出する
- VMCの検証に成功すると、受信側はVMCに埋め込まれたSVG形式のロゴ画像を抽出し、VMCに含まれるロゴ画像と一致しているかなどを確認します。あわせて、SVG画像がBIMIの仕様に準拠しているかを検証します。
- ステップ6:受信画面にロゴを表示する
- BIMIの検証に成功し、受信側メールサービスが定める表示条件も満たしている場合、受信トレイなどにブランドロゴ画像が表示されます。
BIMIの導入手順
ここからは、BIMIの具体的な導入手順を解説します。送信ドメイン認証の整備、ロゴ画像の準備、VMCの取得、BIMIレコードの設定という4つのステップに分けて紹介します。
①SPF・DKIM・DMARCを整備する
まずは、自社から送信する正規のメールがDMARC認証に成功するよう、SPF・DKIM・DMARCを適切に設定します。DMARC認証に成功するには、SPFまたはDKIMの認証に成功し、その認証ドメインとヘッダFromのドメインが一致している必要があります。
また、BIMIを導入するには、組織ドメインのDMARCポリシーをquarantineまたはrejectまで引き上げる必要があります。具体的には、次のいずれかに設定します。
p=rejectp=quarantine; pct=100※pctは、DMARCポリシーを適用するメールの割合を指定するために使用されていたタグですが、2026年5月に公開されたRFC9989(DMARC仕様の改訂版)で廃止されました。ただし、既存のDMARCレコードではpctタグが残っている場合があります。「pct=50」など100未満の値が設定されているとBIMIの要件を満たさないため、pctタグを削除するか、「pct=100」に変更してください。
ここで注意したいのは、BIMIの要件となるのが「組織ドメイン」のDMARCポリシーである点です。一部のサブドメインだけにBIMIを導入する場合でも、親となる組織ドメインのDMARCポリシーをquarantineまたはrejectに設定する必要があります。
組織ドメインのDMARCレコードにサブドメインポリシーを指定するspタグが設定されている場合は、sp=quarantineまたはsp=rejectとします。spタグを省略した場合は、組織ドメインに設定したpタグのポリシーがサブドメインにも適用されます。
DMARCポリシー強化の進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
②BIMIに対応したロゴ画像を用意する
次に、メールに表示する企業やブランドのロゴ画像を準備します。BIMIで使用するロゴ画像は、SVG(Scalable Vector Graphics)形式で作成する必要があります。このステップで行う作業は、大きく分けて以下の2つです。
- 2-1:ロゴのSVGファイルを作成する
- 2-2:SVGファイルを公開サーバーにアップロードする
【ロゴ画像を作成する際の注意点】
- 画像の縦横比を1:1の正方形にする
- 円形や角丸の四角形に切り抜かれて表示されることを考慮し、ロゴを中央に配置する
- 単色の背景を使用する
- ファイルサイズを32KB以下にする
- SVG Tiny Portable/Secure (SVG Tiny PS)プロファイルに準拠させる
BIMIで使用するSVG画像には、一般的なSVGよりも厳格な要件があります。SVG Tiny PSに準拠させるためには、SVGのルート要素に「version=”1.2″」「baseProfile=”tiny-ps”」などの必要な属性を設定し、企業名などを記載した<title>要素を含める必要があります。スクリプトやアニメーション、外部参照など、SVG Tiny PSで認められていない要素は含めないようにしてください。
作成したSVGファイルは、外部からアクセスできるWebサーバーにアップロードします。ファイルのURLはHTTPSでアクセスできる必要があります。このURLはBIMIレコードの設定時に使用するため、控えておきましょう。
加えて、WebサーバーがSVGファイルを返す際のContent-Typeが「image/svg+xml」になっているかを確認しておきましょう。Content-Typeが正しく設定されていないと、受信側がSVGファイルを正常に取得できず、ロゴが表示されない原因となる可能性があります。
③ロゴを商標登録し、VMCを取得する
次に、ロゴの商標登録を行い、その正当性を証明するVMC(Verified Mark Certificate)を取得します。このステップで行う作業は、以下の3つです。
- 3-1:ロゴを商標登録する
- 3-2:認証局に申請してVMCを取得する
- 3-3:VMCのPEMファイルを公開サーバーにアップロードする
VMCを取得するには、対象のロゴが商標登録されている必要があります。商標登録が済んでいない場合は、VMCの申請前に手続きを行いましょう。商標登録には時間がかかる場合があるため、BIMIの導入スケジュールを検討する際は、必要な期間をあらかじめ確認しておくことが重要です。
VMCは、DigiCertやGMOグローバルサインなどの認証局に申請し、審査を受けることで取得できます。審査では、申請企業の実在性や申請者の身元、対象ドメインの管理権限、ロゴの商標登録状況などが確認されます。
VMCの費用は、認証局や対象となるドメイン、ロゴの数などによって異なりますが、国内サービスの場合は、年間20〜30万円前後が一つの目安です。証明書には有効期限があり、継続して利用する場合は更新が必要となります。なお、商標登録や導入支援などにかかる費用は含まれません。
審査が完了してVMCが発行されたら、証明書をPEM形式で取得し、HTTPSでアクセスできるWebサーバーへアップロードします。PEMファイルのURLはBIMIレコードに記載するため、控えておきましょう。
商標登録の進め方やVMCの取得方法、BIMI導入にかかる費用については、以下の記事でそれぞれ詳しく解説しています。
④BIMIレコードをDNSに設定する
ここまでの準備が整ったら、ロゴ画像とVMCの参照先を記載したBIMIレコードをDNSに設定します。
BIMIレコードの書き方
BIMIレコードは、送信元ドメインのDNSにTXTレコードとして設定します。基本的な書式は以下の通りです。
default._bimi.[ドメイン] IN TXT “v=BIMI1; l=[ロゴのURL]; a=[VMCのURL]”| タグ | 内容 |
|---|---|
| v | BIMIのバージョン。現在は「BIMI1」を指定 |
| l | SVG形式のロゴ画像を公開しているURL |
| a | VMCのPEMファイルを公開しているURL |
送信元ドメインが「example.com」の場合は、次のようなBIMIレコードを設定します。
default._bimi.example.com IN TXT “v=BIMI1; l=https://example.com/bimi/logo.svg; a=https://example.com/bimi/vmc.pem”BIMIセレクタの役割と利用方法
「_bimi」は固定の文字列で、その前にある「default」はセレクタです。セレクタを利用すると、同じドメインに複数のBIMIレコードを設定し、メールの種類などに応じて異なるロゴを使い分けられます。
[セレクタ]._bimi.[ドメイン]default以外のセレクタを利用する場合は、送信メールに以下のBIMI-Selectorヘッダを追加し、使用するセレクタを指定します。
BIMI-Selector: v=BIMI1; s=[セレクタ]defaultセレクタを利用する場合は、送信メールにBIMI-Selectorヘッダを追加する必要はありません。
また、BIMI Groupの「BIMI Record Builder」を利用すると、ドメイン名、セレクタ、ロゴ画像とVMCのURLを入力して、BIMIレコードを作成できます。手作業による記述ミスを防ぐためにも、必要に応じて活用するとよいでしょう。
BIMI「BIMI Record Builder」https://bimigroup.org/bimi-record-builder/(2026/8/3確認)
BIMIレコードの確認方法
BIMIレコードをDNSに追加したら、正しく設定できているか確認しましょう。BIMI Groupが提供するチェックツール「BIMI Inspector」では、ドメインとセレクタを入力すると、BIMIレコードの書式や、DMARCポリシーがquarantineまたはrejectに設定されているかを確認できます。
ただし、BIMI Inspectorでは、SVG画像やVMCの内容までは検証されません。ロゴ画像や証明書を含む設定全体については、別の検証ツールなどを利用して確認する必要があります。
BIMI「BIMI Inspector」https://bimigroup.org/bimi-generator/ (2026/8/3 確認)
BIMIに関するよくある質問
最後に、BIMIに関するよくある疑問に回答します。
Q.BIMIはすべてのメールソフトで表示されますか?
いいえ。BIMIによるロゴ表示は、受信側のメールサービスやメールソフトがBIMIに対応している場合に限られます。主な対応サービスとして、Gmail、iCloud.com、auメール、ドコモメールなどが挙げられます。
なお、BIMIに対応していても、利用するアプリやブラウザ、デバイス、OSのバージョンなどによって、見え方が異なる場合があります。また、各メールサービスが独自の表示条件を設けているため、BIMIを導入しても、すべての受信者・デバイスでロゴが表示されるわけではありません。
Q.ロゴが商標登録されていなくてもBIMIは利用できますか?
商標登録されていないロゴでも、CMC(Common Mark Certificate)を取得することで、BIMIを利用できる場合があります。CMCは、ロゴを一定期間使用してきた実績などをもとに発行される証明書です。
ただし、2026年8月時点で、主要なサービスのうち、CMCへの対応を公式に発表しているのはGmailのみです。また、Gmailでも、送信者名の横にチェックマークを表示するには、商標登録済みのロゴを対象とするVMCが必要となります。
そのため、幅広い受信環境でのロゴ表示を目指す場合は、商標登録とVMCの取得を検討すると良いでしょう。
Q.BIMI導入にかかる費用はどれくらいですか?
BIMIの導入にかかる主なコストとしては、商標登録費用とVMCの取得費用が挙げられます。このほか、ロゴ画像の作成や送信ドメイン認証の整備、DMARCの運用を外部へ依頼する場合は、別途費用がかかります。
主な費用の目安は、以下の通りです。
項目 費用の目安 備考 商標登録 数万円〜 商標未登録の場合。弁理士へ依頼する場合は別途費用が必要 ロゴ作成・SVG Tiny PSへの変換 追加費用なし〜数万円程度 自社内対応か外部委託かによって異なる SPF・DKIM・DMARCの整備 追加費用なし〜数万円程度 現在の設定状況や外部支援の有無によって異なる DMARCポリシーの強化・運用 追加費用なし〜月額数万円程度 DMARCレポート分析ツールや運用支援を利用する場合 VMCの取得 年額20〜30万円前後 継続して利用する場合は、更新費用が発生
商標登録を自社で行う場合でも、特許庁へ支払う出願料や登録料が必要です。また、送信ドメイン認証がすでに整備されているか、ロゴ画像を自社で用意できるかによって、導入時の総額は大きく変わります。
BIMI導入にかかる費用については、以下の記事で詳しく解説しています。
Q.BIMIの導入にはどれくらい時間がかかりますか?
BIMIの導入にかかる期間は、送信ドメイン認証の設定状況や、商標登録の状況によって異なります。必要な準備が整っていれば1ヶ月程度で導入できる場合がありますが、送信ドメイン認証の整備や商標登録から始める場合は、半年から1年以上かかることもあります。
工程ごとの期間の目安は、以下の通りです。
項目 期間の目安 SPF・DKIM・DMARCの整備、DMARCポリシー強化 6〜12ヶ月程度 商標登録(未登録の場合) 6〜12ヶ月程度 VMCの取得(申請〜審査) 1〜2週間 BIMIレコードの設定 1日〜1週間
BIMIの詳しい導入手順や準備項目のチェックリスト、社内説明に活用できる情報をまとめた資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。

まとめ
本記事では、BIMIのメリットや仕組み、具体的な設定手順、BIMIレコードの書き方、設定後の確認方法について解説しました。BIMIを導入することで、ブランド認知やメールの信頼性の向上、開封率の改善、なりすまし対策の強化といった効果が期待できます。
ただし、ロゴ表示を実現するには、送信ドメイン認証の整備とDMARCポリシー強化、商標登録、VMCの取得、DNSの設定などが必要となります。そのため、メール配信環境の整備も含め、段階的に準備を進めることが重要です。

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