BLOG ベアメールブログ
2026.05.11 (月)
ロゴを商標登録する方法|自社申請と弁理士依頼の比較、費用、BIMI取得の要件
最終更新日:2026.05.11
ロゴの商標登録には、手続き・費用・期間など多岐にわたる確認事項があり、自社対応の可否を含め不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、「商標登録とは」といった基本から、商標上の「区分」の考え方、出願から登録までの流れ、費用の目安を整理して解説します。また、BIMI(VMC)の導入を目的としている場合に、あらかじめ知っておくべき注意点についても詳しく触れていきます。

目次
商標登録とは
商標登録について理解する前に、まず「商標」とは何かを整理しておきましょう。商標は、商品名やサービス名、ロゴなど、商品やサービスを他社のものと区別するために使用される名称やマークのことを指します。その商標を特許庁に出願し、審査を経て登録することで、商標権を取得する制度を商標登録と言います。
登録されると、その商標を指定した商品・サービスの分野において独占的に使用できる権利(商標権)が発生します。ただし、ロゴのデザインそのものを無条件に独占できるわけではなく、出願時に指定する商品・サービスの区分によって決まります。
商標登録における「区分」とは
商標登録を行ううえで、避けて通れないのが「区分」の理解です。区分とは、商標を使用する商品やサービスをカテゴリーごとに分類した番号(第1類〜第45類)のことです。
「商品」と「役務」の違い
全45種類の区分は、大きく「商品」と「役務」の2グループに分かれます。
分類
区分番号
内容の例
商品
1類〜34類
文房具、衣類、飲食物、化粧品、PC本体など(形のあるもの)
役務
35類〜45類
広告、飲食店の提供、ITサービス、コンサル、教育など(形のないもの)
「役務(えきむ)」とは商標法上の用語で、一般的には「サービス」を指します。ITサービスの提供や広告運用といった事業は、この役務区分の中から適切なものを選んで指定するのが一般的です。
特許庁「類似商品・役務審査基準〔国際分類第13-2026版対応〕」https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/ruiji_kijun13-2026.html(2026/4/24確認)
区分選びで失敗しないための注意点
区分を正しく選べていないと、せっかく登録しても「肝心のビジネスが保護されない」という事態になりかねません。次の3点には特に注意しましょう。
1. 権利の範囲は「区分」がベースとなる
商標権は、出願時に指定した商品・サービスの範囲に対して発生します。そのため、どんなに有名な名前でも、登録していない商品・サービスの分野まで常に保護できるとは限りません。実務上は、その対象範囲の整理のために「区分」をベースに考えるのが基本です。ただし、権利の範囲は区分番号だけで単純に決まるわけではなく、実際にどの商品・サービスを指定したかによって左右されます。
2. 区分の数で費用が変わる
特許庁への登録料や手数料は「区分数」に応じて増減します。広すぎるとコストがかさむため、優先順位をつけた選択が重要です。
3. 明確な事業計画の範囲で指定する
「今は商品だけ売っているが、将来はコンサルもしたい」と、現時点で具体性の低い区分まで指定するのは避けたほうが無難です。広すぎる指定や、実態の乏しい指定の場合は、使用予定の裏付け資料を求められる場合があります。ビジネスの多角化を見越す場合でも、証明できる範囲で指定しておきましょう。
ロゴの種類と出願の条件
ロゴには「シンボルマーク」や「ロゴタイプ」といった種類がありますが、商標登録で重要なのはその「構成要素」の組み合わせです。実際に使用する予定のレイアウトと異なる形で登録してしまうと、ロゴの配置を変えた際に権利が守られなくなるなどのリスクが生じます。
ロゴの種類と構成
自社のロゴがどの要素で構成されているかを確認し、最適な商標で出願しましょう。
ロゴの種類 構成要素 ロゴの例 商標の種類 メリット
特徴
シンボルマーク 図形のみ 
図形商標 マーク単体を強力に保護できる
ロゴタイプ 文字のみ 
文字商標 社名やブランド名の「言葉」を保護できる
ロゴマーク 図形
+
文字
結合商標 マークと文字をセットで一括保護できる
図形と文字をセットにした結合商標として1件にまとめれば、出願費用を抑えやすい一方で、次のような点には注意が必要です。
部分ごとの権利主張がしにくい
結合商標は、基本的に登録した全体の形を前提に判断されます。そのため、図形だけ、または文字だけを第三者に使われた場合、どこまで権利を主張できるかが争点になることがあります。
不使用取消しの対象となり得る
結合商標のうちの文字部分だけ、あるいは図形部分だけ使うなど、登録した商標と大きく異なる形で使い続けていると、登録商標の使用として認められず、不使用取消しの対象になるリスクがあります。ただし、書体や軽微な見た目の調整など、社会通念上同一と認められる範囲の変更であれば、直ちに問題になるとは限りません。
ロゴを商標登録するための条件とは?
ロゴを商標登録するためには、そのデザインが自社と他社の商品・サービスを区別できる目印として機能する必要があります。これを「識別力」と呼び、識別力がないと判断されたロゴは、原則として登録できません。具体的には、次のようなケースは「識別力がない」とみなされ、登録が難しくなります。
登録が認められない主なケース
一般名称のみのロゴ:その分野の一般的な名称(例:PC販売で「パソコン」という文字のみ)
説明的なデザイン:商品の品質・効能・産地を直接的に示すだけのもの
公序良俗に反するもの:道徳的に問題がある表現を含むもの
他社商標との類似:すでに他人が登録している商標と同一、または似ているもの
特に他社商標との類似には注意が必要です。見た目(外観)だけでなく、「読み方(称呼)」や「意味合い(観念)」が近い場合も、特許庁から区別しづらいと判断され、登録が認められないことがあります。
ロゴの商標登録の流れ
商標登録をするには、調査から出願、特許庁とのやり取りなどが必要です。登録完了までには半年から1年以上かかるケースも珍しくないため、期日が決まっている場合は余裕を持った着手が重要です。ここでは、商標登録の流れを4つのステップに分けて解説します。
特許庁「初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~」https://www.jpo.go.jp/system/basic/trademark/index.html(2026/4/24確認)
ステップ1|出願に向けた事前準備
出願後の手戻りを防ぎ、スムーズに進行させるためには事前準備が欠かせません。
登録するロゴと「区分」の決定
まずは商標登録するロゴを確定させ、そのロゴをどの商品やサービスで使用するかを整理します。この際、商標上の「区分」を過不足なく指定することが大切です。
先行商標の調査
登録予定のロゴと似た商標がすでに登録されていないか、特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」を使用して調査します。もし、この調査で類似が見つかっても、構成の見直し等で登録できる場合もあります。最終的な成否は審査官によって決まります。
ステップ2|願書の作成・提出
準備が整ったら、特許庁へ商標登録願を提出します。出願後の大幅な修正はできないため、この段階でブランド表記に誤りがないか慎重に確認しましょう。出願方法は次の2通りです。
項目
電子出願(推奨)
書面出願
提出方法
PCから専用ソフトで申請
郵送または窓口へ持参
メリット
電子化手数料が不要
入力チェック機能ありPC環境を整える手間がない
追加費用
なし
電子化手数料が発生
(基本料2,400円+枚数×800円)
必要なもの
電子証明書
A4白紙、特許印紙
特許庁公式のインターネット出願ソフトは、現在Windows版のみの提供となっており、macOSでは利用できない点に注意が必要です。
ステップ3|審査と拒絶理由への対応
出願後、特許庁によって登録条件を満たしているかの審査が行われます。条件を満たさないと判断された場合、拒絶理由通知書が届きますが、これは登録不可の確定でなく、修正や説明が必要な点を知らせるものです。
- 対応方法:通知の内容を確認し、意見書や手続補正書を提出して反論や修正を行います。
- 期限:通知発送日から原則として40日以内に対応する必要があります。期限を過ぎると拒絶査定に進むため注意が必要です。
ステップ4|登録料の納付と商標権の発生
審査の結果、提出書類の内容に問題がないと判断されると、商標登録査定が届きます。
- 登録料の納付:査定が届いてから30日以内に登録料を納付します。
- 権利の発生:納付後、正式に商標登録証が交付され、商標権が発生します。
特許庁「商標の登録査定を受け取った方へ」https://www.jpo.go.jp/system/basic/otasuke-n/shohyo/satei/(2026/4/24確認)
出願から登録完了までの期間の目安
商標登録までに要する期間は、出願時期や指定する区分の内容、特許庁からの拒絶理由通知の有無によって大きく変動します。
一次審査結果が出るまでの期間
特許庁の最新データ(2026年4月時点)によると、出願から審査が始まるまでの期間は、指定する区分によって5か月〜9か月と幅があります。サービス業や小売、IT関連のロゴなどは約7か月〜9か月、食品や化学製品などは約5か月〜8か月かかります。ここに審査期間を加えると、一時審査の結果が手元に届くのは、出願から1年弱程度になるでしょう。
ただし、上記の期間はあくまで2026年4月時点の目安であり、着手時期を保証するものではありません。商標の出願状況によって期間は変動するため、特許庁の「商標審査着手状況(審査未着手案件)」で、最新情報を確認してください。
特許庁「商標審査着手状況(審査未着手案件)」https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/status/cyakusyu.html(2026/4/24確認)
登録完了(商標登録証の交付)までの総期間
出願から最終的に商標登録証が手元に届くまでは、スムーズに進行した場合でも、8か月から1年強ほどの期間を見込んでおく必要があります。さらに、審査官から「登録できない理由(拒絶理由)」を指摘された場合は、意見書の提出や再審査のプロセスが加わるため、さらに数か月単位で期間が延びることになります。
BIMI導入を検討されている方への注意点
BIMIの導入要件となるVMC(認証マーク証明書)を取得するには、「商標登録が完了していること」が必須条件です。商標登録には時間がかかるため、BIMIの運用開始日が決まっている場合は、逆算して余裕を持ったスケジュールで出願を完了させておきましょう。
商標登録は自社で行える?|弁理士に依頼するメリットと違い
商標登録の手続きは自社で行うことも可能ですが、専門家である弁理士に依頼する方法もあります。どちらを選ぶかによって、必要な作業量やトータルコストが変わるため、自社のリソースに合わせて検討しましょう。
自社対応と専門家支援の比較
商標登録の手続きには、自社で対応できる工程と、専門的な判断が求められる場面があります。まずは、どの工程を自社で進められるのか、またどの場面で弁理士の支援が有効になるのかを整理してみましょう。
手続き・作業内容 自社で対応可能か 弁理士の支援が有効な場面 登録するロゴの決定 ◎ 自社で判断すべき内容 最終決定は自社(相談は可) 商標を使用する商品・サービスの整理 ◎ 自社で整理可能 将来展開を見据えた区分設計を相談したい場合 区分の設計(現在+将来) △ 判断が難しい場合あり 権利範囲をどこまで広げるべきか判断したい場合 先行商標の調査 (J-PlatPatによる一次調査) ○ 手順に沿えば可能 類似商標のリスクを専門的に評価したい場合 類似商標との抵触リスク判断 △ 専門知識が必要 登録可能性を法的観点で確認したい場合 出願書類の作成・提出 ○ 手順に沿えば可能 記載ミスや補正・拒絶リスクを減らしたい場合 拒絶理由通知への対応 △ 内容の理解が難しい場合あり 拒絶理由の意図を正しく読み取り、登録可能性を高める対応が求められる場合 登録料の納付・期限管理 ◎ 自社管理可能 管理漏れ・更新忘れを防ぎたい場合
自社で出願する場合のメリット
自社で商標登録を行う最大のメリットは、コストを最小限に抑えられる点です。弁理士への依頼費用が発生しないため、特許庁に支払う印紙代のみで手続きを進められます。また、ロゴの決定から書類の提出、期限管理までを社内で把握しながら進行できるため、手続きの透明性が高い点もメリットといえます。
弁理士に依頼する場合のメリット
弁理士に依頼する最大のメリットは、登録の確実性を高めながら、自社のリソースを本業に集中できることです。プロに任せることで、似た商標がないかの高度な調査や、将来の事業展開を見据えた区分設計について、専門的な助言を受けることができます。また、煩雑な書類作成や期限管理を代行してもらえるため、心理的な負担も大幅に軽減されます。
弁理士に依頼した際の費用内訳
弁理士に支払う費用は、特許庁へ納める「実費(印紙代)」に加え、弁理士への「報酬(手数料)」が含まれています。事務所によって手数料の設定や料金体系は異なりますが、一般的な内訳の目安は次のとおりです。
項目 タイミング 内容 費用の目安(1区分)
出願手数料 出願時 事前の調査、区分の選定、書類作成・提出の代行費用。 3〜10万円
中間対応費用 審査中 特許庁から「登録できない理由(拒絶理由)」が届いた際、反論や修正を行う費用。 3〜10万円(発生時のみ)
登録謝金(成功報酬) 登録時 無事に審査を通過し、登録が完了した際に支払う報酬。 2〜6万円
確認すべき「料金のチェックポイント」
依頼先によって料金体系は大きく異なるため、契約前に次の点を確認しておくと安心です。
✅中間対応は別料金か: 拒絶理由通知書に対しての意見書や手続補正書を作成・提出に追加費用が発生するのか。
✅調査費用の有無: 出願前の調査が出願手数料に含まれているか、別途見積もりが必要か。
ロゴの商標登録にかかる費用
ロゴの商標登録では、出願時・登録時・更新時の各タイミングで費用が発生します。これらの費用は、指定する区分数に応じて加算される点が特徴です。ここでは、特許庁へ支払う具体的な金額と、弁理士費用も含めた総額の目安を紹介します。
特許庁に支払う法定費用の一覧
自社で商標登録を行う際にかかる実費(法定費用)の全体像です。商標権の登録料納付は、10年分の一括納付か、5年ごとの分割納付を選択できます。電子申請を利用することで、紙の書類申請で発生する「電子化手数料」を節約できます。
手続き 費用(参考) 内容 備考
出願料 3,400円+(区分数×8,600円) 商標登録を申請する際に支払う費用 2区分目以降、1区分につき8,600円が加算されます。
登録料 区分数×32,900円 審査を通過し、商標権を発生させるために支払う費用 10年分一括納付の場合の金額です (5年ごとの分割納付も可能)
電子化手数料 基本料2,400円+枚数×800円 書類申請の場合発生する費用 電子申請の場合は手数料なし
更新料 区分数×43,600円 商標権を継続するための費用 10年ごとに納付します(5年ごとの分割納付も可能)
特許庁「産業財産権関係料金一覧」https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html(2026/4/24確認)
【シミュレーション】商標取得までにかかる総額の目安
BIMI導入のために、最もオーソドックスな1区分に絞り、10年分を一括で納付した場合、商標を取得するまでにかかる初期費用の総額は以下のようになります。なお、このシミュレーションは取得時のもので、10年目以降の更新料は含んでいません。
- 自社でオンライン出願する場合(実費のみ)
- 出願料:12,000円(3,400円+8,600円)
- 登録料:32,900円
- 合計: 44,900円
- 弁理士・特許事務所へ依頼する場合(実費+手数料)
- 特許庁への法定費用:44,900円
- 事務所への手数料合計(調査・出願・登録):約80,000円 〜 130,000円
- 合計目安:約125,000円 〜 175,000円
BIMI導入に商標登録が必要な理由
商標登録は、BIMI(Brand Indicators for Message Identification)でメールに企業ロゴを表示するために必要な条件の一つです。ここでは、BIMI表示にあたってVMCと商標登録がどのような役割を持っているのか整理します。
BIMIの仕組みと商標登録との関係
BIMIは、メールの受信画面に企業ロゴを表示させる仕組みですが、単に画像をアップロードすれば良いわけではありません。ブランドの信頼性を担保するため、次の2つの大前提が設けられています。
- 第三者による「ロゴのなりすまし」が不可能な状態であること
- そのロゴを、正当な権利者が使用していると証明されていること
この2つのハードルをクリアするために必要となるのが、「商標登録」と「VMC」です。
信頼の土台となる「商標登録」
まず、ロゴの権利者が誰であるかを公的に証明しなければなりません。そこで、商標登録の出番です。ロゴを商標として登録することで、そのロゴの所有権が自社にあることが法的に裏付けられ、第三者が勝手にロゴを名乗ることを防ぐ信頼の土台が整います。
正当性を証明する「VMC」
商標登録で権利者が明確になったら、次は「今そのロゴを使っているのが、本当に権利者本人か」を技術的に証明する必要があります。この役割を担うのが、VMC(Verified Mark Certificate:認証マーク証明書)です。商標登録とVMCの両方が揃って初めて、BIMIによるロゴ表示が実現します。VMCの詳細は次の記事を参考にしてみてください。
VMCとは|取得方法や費用、CMCとの違いをわかりやすく解説|ベアメールブログ
BIMI導入時の注意点
BIMIの導入を検討している場合、商標登録が完了すれば安心というわけではありません。実務上、特に次の点に注意が必要です。
ロゴ変更時のVMC再申請リスク
BIMIの導入においては、商標のルールとは別に、VMC特有の厳格なルールを理解しておく必要があります。
- 商標上の扱い:色や配置の微調整などは、多くの場合軽微な変更(同一性の範囲内)として、再登録なしで許容されます。
- VMC上の扱い:VMCは「申請したロゴデータそのもの」を認証対象とします。そのため、商標としては問題ないレベルの微調整であっても、ロゴデータに少しでも手を加えた場合は、VMCの再申請が必要になるケースがほとんどです。
「商標の権利」と「BIMIの認証」は別物です。商標権が有効に存続していても、BIMIで表示するロゴデータを変更する場合は、技術的な証明であるVMCはやり直しになる点に注意してください。
送信環境の整備が最大のハードル
BIMI導入の最大のハードルは、正規の送信元以外からのメール配信を防止する「DMARCポリシーの強化」です。自社の送信環境の調査や、送信ドメイン認証の検証など技術的な対応が必要なため、社内だけで対応しようとすると想定以上の時間がかかり、結果としてBIMI導入のスケジュールが大幅に遅れてしまう可能性があります。
こうした背景から、ベアメールではBIMI導入を支援するサービスを提供しています。
DMARCの設定から支援を受けたい場合は「BIMI導入支援パッケージ」、VMCの取得から依頼したい場合は「BIMI/VMCマネージドサービス」をご検討ください。

商標登録に関するよくある疑問
ここまで商標登録について解説してきましたが、それでもまだ疑問を抱えている方もいるかもしれません。ここでは、商標登録に関するよくある疑問について解説します。
商標登録していないと、どのような問題が起こりますか?
商標の登録がされていない状態では、ブランドのイメージを損なうだけではなく、最悪、自社のロゴマークが使えなくなるリスクがあります。
まず、自社のロゴが勝手に使われていても、商標権という確固たる権利がなければ、権利行使(差止請求や警告)が非常に困難になります。
また、第三者が悪意をもって(あるいは偶然に)先にそのロゴを商標登録してしまった場合、たとえ自社が先に使っていたとしても、商標権侵害としてロゴの使用中止を求められるリスクがあります。これは、日本の商標制度が、先に出願・登録した者が権利を得る「先願主義」を採用しているからです。最悪の場合、看板やWebサイト、商品パッケージなどのすべてを差し替えなければならず、事業に多大な損害が発生する恐れがあります。商標登録は自社のビジネスを守るための保険としての役割を持っているといえます。
類似する商標が見つかった場合、登録はできませんか?
結論から言うと、似ているからといって、すぐに諦める必要はありません。たとえ似たような登録商標が見つかっても、「ロゴの形」や「文字と図形の組み合わせ」を工夫することで、既存の商標とは別物であると認められ、登録できるケースがあるからです。
役務区分はどこまで指定すればよいですか?
商標の効力は指定した区分の範囲内にしか及びません。そのため、現時点での事業内容はもちろん、将来の事業展開を見据えて過不足なく指定することが大切です。
「まだ始めていないサービスまで指定できるのか」という疑問を持たれることがありますが、事業計画書等で予定を証明ができれば、現時点で提供していない役務でも申請可能です。
ロゴを少し変更した場合、再登録は必要ですか?
「一般的な商標保護」を目的とするか、「BIMI(VMC)」を目的とするかで結論が異なります。
一般的な商標保護を目的にする場合、変更の程度によりますが、再登録は不要です。特許庁のルールでは、変更したロゴが社会通念上同一と認められる範囲内であれば、同じ商標を正しく使用していると見なされるからです。
BIMIで表示させるロゴのデザインを変えたい場合は、そのロゴで改めて商標登録する必要があります。VMCの審査では、特許庁の登録商標と、BIMIで表示するロゴデータ(SVG)の一致が求められます。そのため、形やレイアウトのバランスを変更した場合はもちろん、出願時に特定のカラーで登録したものを別の色に変更してVMC申請しようとした場合も不一致とみなされ、審査に通りません。ただし、商標を白黒で登録している場合に限り、白黒以外の色で申請しても一致していると見なされます。
まとめ
ロゴの商標登録は、自社ブランドを法的に守るだけでなく、BIMIの導入(VMCの取得)に欠かせない重要なステップです。登録完了までにはスムーズに進行した場合でも、8か月から1年強の期間を要するため、BIMIの利用開始予定日に合わせて、できるだけ早い段階で着手しましょう。