Gmailにメールが届かない!Gmailへの到達率改善のヒント

目次contents
はじめに
スパムメールや迷惑メールに対しての受信規制の強化により、マーケティング活動やコミュニケーションにおけるメールの到達率に問題を抱えていませんか?とくに、Gmailのようなフリーメール宛のメールは、到達率が著しく低下する可能性があるため、メールを送信する側もGmailの特性を踏まえた対策が必要です。ここでは、Gmailへのメールが届かない原因や、到達率改善のヒントなどを紹介します。
なぜGmailにメールが届かないのか
Gmailにメールが届かない原因としては、「ドメインがブラックリストサービスに登録されている」、もしくは「Gmailのフィルタが作動している」のどちらかが考えられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。
ドメインがブラックリストサービスに登録されている
メールのブラックリストとは、「メールサーバの情報から発信元の信頼性に関するデータを蓄積し、リアルタイムで公開する」サービスのことです。一般的には、DNSBLやRHSBLと呼ばれ、世界中のメールサービスで活用されています。こうしたブラックリストサービスに登録されてしまうと、そのリストを利用しているISPやフリーメールに対してメールが届かなくなる可能性があります。以下は、主なブラックリストサービスの内容です。
Spamhaus
1998年に発足した国際的なNPOで、DNSBLでは最も有名なサービスです。スパムメールの発信源となっているIPアドレスのレピュテーション(評判・評価)を個人向けに無償で提供する一方、法人や政府機関向けには有償サービスも行い、世界の主要企業・機関で活用されています。
SpamCop
スパムメールの受信を自動報告できるシステムや、メールフィルタリングシステムを有料で提供しています。
MXToolBox
米国のMXToolBox社が運営するWebサービスです。自社ドメインやIPアドレスがブラックリストに登録されていないか、またWeb上から自社ネットワークの状態(DNSレコード・SPFレコードの設定など)の確認も可能です。
Gmailのフィルターが作動している
Gmail独自のメールフィルターが作動している場合も、メールが届かない原因となります。Googleでは、Gmail宛に送信する個人・組織に対してルールを設定しており、「送信者向けガイドライン(旧:一括送信ガイドライン)」として公開しています。以下は、ガイドラインから読み取れるメール不達の原因です。
○短時間で大量のメールを送信している
一括送信かつ短時間で大量のメールを送信していると、Gmailにメールの到達を遮断される可能性があります。
○添付ファイルサイズがオーバーしている、もしくは形式が不適切
Gmailに対して添付できるファイルのサイズは「25MB」に制限されています。仮に25MBを超えてしまうと、メール不達の原因になり得ます(Googleドライブ上のデータを添付する場合は、50MBまでリンク添付で受信可能)。また、受信者のアカウントを保護するための処置として、添付ファイルの形式にも制限があります。ファイル形式の制限については、以下を参照してください。
○メールの形式が不適切
メールは、RFC 5322 (Internet Message Format) に準拠する形式でメールを作成することが望ましいとされています。また、HTMLやCSSを使用してメールのコンテンツを非表示にすると、メール不達(迷惑メールフォルダに振り分けられる)可能性が高くなります。
○ドメイン認証のチェックで弾かれている
SPF・DKIM・DMARCなどの送信ドメイン認証がきちんと設定されていないメールは、なりすましメールやフィッシング詐欺などの疑いがあるため、迷惑メールと判断されることがあります。また、メールのヘッダFromと送信元ドメインが不一致の場合、フィルタが作動する可能性が高まります。
○ドメインやIPアドレスの信頼性が低い
ドメインやIPアドレスの信頼性が低い場合も、迷惑メールと判断されやすいようです。共有IPアドレスを利用している場合、自社以外のメール送信者が不正な使い方をしているとIPアドレスのレピュテーションスコアが下がってしまい、この影響により自社から送信するメールが迷惑メールと判断されることがあります。
Gmailへメールが届かないときの改善策
では、これまでの内容を踏まえて、Gmailへのメール到達率を改善する方法を紹介します。
ブラックリストサービスへの登録有無確認と解除申請
まず、ブラックリストサービスに対して自社メールアドレス・ドメインが登録されているかを問い合わせます。もし登録されていた場合は、解除申請を行いましょう。申請が受け付けられて解除が完了すれば、メールが届くようになるかもしれません。
ガイドラインに沿ったメール形式・内容への変更
Gmailのガイドラインに従い、RFC 5322(Internet Message Format)を意識したメール形式へと変更します。ただし、一般的なメーラーであれば自動で対応しているので、意識的にヘッダ・ボディの情報を変更しなければ、自然と規定の形式におさまっているはずです。そこで、メールの内容についてもチェックしていきましょう。チェックすべき点は、以下5つです。
・禁止ワードを使用していないか
・同じ単語を不自然に何度も使っていないか
・リンクを大量に貼り付けていないか
・短縮URLを多用していないか
・文字修飾を過剰に施していないか
PTRレコード(逆引きDNSレコード)の確認と設定
意外と見落としがちなのが、PTRレコードの確認と設定です。PTRレコードとは、DNSに定義されるドメイン情報の一種で、特定のIPアドレスにホスト名を紐づけています。ドメイン名からホスト名を探る(逆引き)ときに使用されるため、「逆引きDNSレコード」とも呼ばれます。このPTRレコードが正しく設定されていないと、迷惑メールと判断されることがあります。
レピュテーション管理
前述したように、共有IPを使用している場合などでは、他の使用者の振舞いがレピュテーションの低下を引き起こし、その影響でメールの不達が起こることがあります。これを防ぐため、共有IPのレピュテーションを常にチェックし、必要であれば専用IPへの切り替えなどを行うべきです。レピュテーションの状態は、Googleが提供する「Postmaster Tools」で確認することができます。
送信ドメイン認証の活用
SPF・DKIMなどの送信ドメイン認証の活用も、Gmailへのメール到達率改善に効果的です。導入に手間が必要ですが、これらの送信ドメイン認証に対応した外部サービス(メールリレーサービス)を利用することで、ごく簡単に使い始めることも可能です。
「送信ドメイン認証」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご一読ください。
なりすましと誤解されないための対策
実際の送信者と表示上の送信者が一致しないと、「なりすましメール」と判断されることがあります。そのため、「ヘッダFrom」「エンベロープFrom」「Received」「Return-Path」などは同一のアドレスに設定するなど、送信元の信頼性を疑われないような対策を施しましょう。
送信先リストの定期的なクレンジング
宛先不明のエラーメール(バウンスメール)が多いことも、ブラックリストへ登録される原因になり得ます。エラーメールは定期的にチェックし、送信できない宛先にメールを送らないよう削除するなど、送信先リストのクレンジングを心がけましょう。
定期的にメールを送信し、徐々に送信量を増やす
Gmailへのメール送信量は、送信するメールの通数が多いほど、時間をかけて少しずつ増やしていくことが推奨されています。メールの送信頻度は「週単位」ではなく「日単位」にすることで、より早く送信量を増やすことが可能です。
まとめ
ここでは、Gmailにメールが届かない場合の原因と対策について解説してきました。Gmailのようにメジャーなフリーメールサービスへの到達率が悪化すると、顧客とのコミュニケーションやマーケティングに支障をきたします。顧客側にも迷惑メールの設定見直しを呼びかけると共に、自社でもガイドラインに沿ったメール送信を心がけましょう。また、それでもメールの到達率が上がらないのであれば、メール到達率の改善対策としてIPレピュテーションの管理や運用が含まれている外部サービス(メールリレーサービスなど)の活用も検討してみてはいかがでしょうか。