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2025年5月5日施行:Outlook宛て大量メール送信者向け新要件とその対応方法

2025年5月から、Outlookは1日5,000通以上のメールを送信するドメインに対して、新たな要件を導入します。これにより、要件に準拠できていないメールは、迷惑メールフォルダに振り分けられたり、受信を拒否されるようになる恐れがあります。

本記事では、新要件が適用される対象や、必須要件と推奨事項の内容、Gmailガイドラインとの違い、そして具体的な対応チェックリストまで、わかりやすく解説します。

Outlookの新要件とは

2025年5月5日以降、Outlook.com(@outlook.com、@hotmail.com、@live.com)に、1日5,000通以上のメールを送信する送信者は、SPF・DKIM・DMARCによる認証が必須となります。

要件を満たさない場合、大切なメールが迷惑メールフォルダに振り分けられたり、拒否されるリスクが高まります。メールの到達率とブランドの信頼性を保つためにも、早めの対応が不可欠です。

本記事は、Microsoftが公開した[Outlook’s New Requirements for High‐Volume Senders](https://techcommunity.microsoft.com/blog/microsoftdefenderforoffice365blog/strengthening-email-ecosystem-outlook%E2%80%99s-new-requirements-for-high%E2%80%90volume-senders/4399730)を参考に作成しています。

対象者

1日あたり5,000通以上のメールをOutlook宛てに送信するドメインが対象です。

また、送信するメールの種類は問いません。マーケティングメールだけではなく、会員登録通知や注文確認、自動返信メールといったシステムからの通知メールを含むすべての種類のメールが対象となります。

また、今回の要件の対象者について、MicrosoftはFAQで次にように回答しています。

Q.1 日あたり 5,000 通未満のメールを送信する場合でも、これを実行する必要がありますか?

A.適用はまず大規模な送信者を対象としますが、これらのベストプラクティスはすべての送信者にメリットをもたらします。強力な認証により、お客様の評判が保護されます。

引用元:Microsoft Defender for Office 365 Blog
[Strengthening Email Ecosystem: Outlook’s New Requirements for High‐Volume Senders]
https://techcommunity.microsoft.com/blog/microsoftdefenderforoffice365blog/strengthening-email-ecosystem-outlook%e2%80%99s-new-requirements-for-high%e2%80%90volume-senders/4399730
(2025/4/25確認)

このように、今回の要件は「まず大規模な送信者を対象とする」とあるため、将来的には全送信者に対して適用される可能性も考えられます。現状5,000通未満の送信状況であっても、早めの対応をお勧めします。

Outlookの要件に対応しない場合のリスク

2025年5月5日以降、新要件に対応できていないメールは迷惑メールフォルダに振り分けられるようになります。

また、時期は公表されていないものの、新要件に準拠できていないメールは将来的に受信を拒否されるようになるとMicrosoft公式が述べています。

Outlook新要件の詳細

それでは、今回Microsoftが公開した新たな送信者向け要件について、必須要件と推奨事項に分けてそれぞれ詳しく解説していきます。

必須要件

今回の新要件で必須とされているのは、SPF・DKIM・DMARCによる認証です。

これまでOutlookの送信者ガイドラインでは、送信ドメイン認証ではSPFが必須とされていました。それに加え、今回DKIMとDMARCが新たに追加された形です。

SPF(Sender Policy Framework)

送信ドメインのDNSに、送信を許可するIPアドレスを正確に記載し、認証に合格する必要があります。

SPFレコードの設定方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

SPFレコードの書き方とは? 記述例を総まとめ | ベアメールブログ

DKIM(DomainKeys Identified Mail)

送信メールサーバーでDKIM署名をメールに追加し、DKIM認証に合格する必要があります。

DKIMの設定方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

DKIMを導入するには? 仕組みや設定方法を解説 | ベアメールブログ

DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)

DMARCレコードを設定し、DMARC認証に合格する必要があります。DMARC認証に合格するためには、SPFまたはDKIM(理想的には両方)でアライメントが取れる必要があります。

設定するDMARCポリシーは、要件への準拠という意味ではひとまず「p=none」で問題ありません。

DMARCの設定方法や、アライメントについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

DMARCレコードの書き方は? 設定・確認方法や設定例も解説 | ベアメールブログ

DMARCのアライメントとは? SPF・DKIMアライメントをPassするためのポイント | ベアメールブログ

その他にOutlookが推奨する事項

送信ドメイン認証の他に、Microsoftが大規模な送信者に対して推奨しているのは以下の事項です。

  • 有効な送信元アドレスの利用
  • 配信停止リンクの明示
  • メールリストのクリーニング
  • 透明性の高いメール配信

有効な送信元アドレスの利用

Microsoftが新たに示したガイドラインでは、メールの「ヘッダFrom」や「Reply-To」に実際に返信可能なアドレスを設定することが推奨されています。スパムやフィッシングメールでは、ヘッダFromを偽装したり、返信不能なアドレスを使うことが多いため、受信側では送信元アドレスの有効性を重視するようになっているのです。

「noreply@」のような返信できないアドレスを使用するケースは一般的ですが、こうしたアドレスはフィルタリングにおいて信頼性が低いと判断され、到達率の低下につながる要因となり得ます。また、返信できないメールは受信者に不信感を与え、ブランドへの信頼を損なう恐れもあります。

そのため、noreplyアドレスの使用はできる限り避け、ヘッダFromには実際にメールを受信できるアドレスを設定するようにしましょう。

noreplyアドレスを使わないメール運用方法については以下の記事を参考にしてください。

noreply@メールは信用できる? 不信感を招く理由と送信者に求められる工夫 | ベアメールブログ

配信停止リンクの明示

受信者が不要なメールを自発的に止められるようにすることは、現代のメールマーケティングにおける基本姿勢です。Microsoftは、受信者の権利を尊重するという観点から、配信停止リンクの明示を強く推奨しています。

また、配信停止のリンクがない場合や、手続きが煩雑な場合は、受信者は「迷惑メール」として報告する可能性が高くなります。この行動は、送信ドメインのレピュテーション(評判)に直接的な悪影響を与えるため、配信側にとっても大きな損失です。したがって、ユーザが迷わず簡単に配信停止できるよう、明確な場所にリンクを配置することが求められます。

メールリストのクリーンアップ

無効なアドレスや非アクティブなアカウントを定期的に配信リストから削除し、スパムの苦情やハードバウンスを減らすようにしましょう。

メールリストの規模や増加率にもよりますが、2〜3ヶ月に1回程度行うことが理想的です。少なくとも年に1〜2回程度は行うべきでしょう。

具体的な実施方法は以下の記事を参考にしてみてください。

メールのリストクリーニングとは? 具体的な実施方法、宛先リストの品質を保つポイントを解説 | ベアメールブログ

透明性の高いメール配信

Microsoftは、送信者に対し「誠実かつ透明性のあるメール運用」を求めています。これは受信者の同意に基づいてメール配信を行うことと、受信者を欺かない正確な情報提供を行うことを指します。具体的には以下のようなことに気をつける必要があります。

受信者の同意を重視する
  • 同意を得た宛先にのみメールを送信する
  • 配信停止を希望したユーザに再度メールを送らない
誤解を招く件名を使用しない

以下のような件名は避けるようにしましょう。

  • 内容を誇張する表現:実際の内容よりも大げさに伝えることで、受信者に過度な期待を抱かせる
  • 緊急性を強調しすぎる表現:「至急」「重要」「警告」などの言葉を多用する
  • 感情に訴える煽り文句:不安を煽る、驚かせるなど、感情的に開封を促す意図が強い
  • 内容と関係の薄い表現:開封を目的とした表現に終始し、メール内容との整合性が取れていない
ヘッダの偽装などを行わない

以下のようなヘッダは避けるようにしましょう。

  • 表示名のなりすまし:表示名にヘッダFromのアドレスと全く関係のない企業名などを設定する
❌ From: Amazon.co.jp noreply@randomdomain.com
✅ From: 株式会社example サポート
  • ヘッダFromのなりすまし:ヘッダFromに関係のないドメインを設定し、エンベロープFromと一致しない
❌From: support@esample.com
Return-Path: spammer@randomdomain.com
  • 返信アドレス(Reply-To)の不一致:返信先がヘッダFromと違うドメインに設定されていると、不正な誘導とみなされやすい
❌ Reply-To: unknown@randomdomain.com
✅ Reply-To: support@example.co.jp

Gmailの送信者ガイドラインとの違いは?

今回のOutlookの要件と、Gmailの送信者ガイドラインには細かな違いがあります。それぞれの違いを以下の表にまとめました。

項目Gmail(Google)Outlook(Microsoft)
適用開始2024年2月〜2025年5月〜
対象送信者全ての送信者/1日5,000通以上1日5,000通以上
SPF / DKIM / DMARC全ての送信者:SPFまたはDKIM
1日5,000通以上:SPF・DKIM・DMARC
SPF・DKIM・DMARC
DMARCポリシーp=noneでも可p=noneでも可
DMARCアライメント1日5,000通以上:必須必須
迷惑メール報告率全ての送信者:0.3%未満を維持明記なし
配信停止リンク1日5,000通以上:マーケティングメールの場合、List-unsubscribeヘッダを使用する必要がある明示は推奨されているが、List-unsubscribeヘッダを使用する必要はなし
Fromアドレス明記なし返信可能なアドレスの使用を推奨
ARC対応推奨(評価に影響)明記なし

Gmailガイドラインの詳細は以下の記事を参考にしてください。

2024年2月以降Gmailに送信するための新要件とは? 新しい送信者ガイドラインへの対応策 | ベアメールブログ

Outlookの要件を満たすための最終チェック

それでは、最後に今回のOutlook向けの送信者要件のチェックリストをまとめたので、自社が対応できているか確認してみましょう。

  • SPF・DKIM・DMARCがすべて設定済みで、DMARCアライメントが成立している(必須)
  • DMARCポリシーが最低でも「p=none」になっている
  • 配信停止リンクがメール本文に明示され、動作確認済み
  • 無効アドレス・休眠アドレスの定期除外を行っている(年2回以上)
  • 実在する返信可能な「From」アドレスを使用している

対応状況が不安な方は、ベアメールの迷惑メールスコアリングで診断することもお勧めです。

テストメールを送信するだけで、SPF・DKIM・DMARCの設定状況や、メール送信者に求められる推奨事項を多角的にチェックできる他、OutlookやGmail、iCloudなどへの到達率なども確認可能です。手間をかけずに自社の送信メールの課題の可視化と、改善するための打ち手を明確にすることができます。

興味のある方は無料のデモ診断も可能なため、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

Outlookは、2025年5月5日から、大量メール送信者に対してSPF・DKIM・DMARCの送信ドメイン認証の必須化に加え、ユーザーの利便性・安全性を高めるための新たな推奨事項を要求します。

特にDMARCは、GmailやOutlookの他にもiCloudやdocomo、Yahoo!メールなども送信者に対して対応を求めており、未対応の場合はメールが迷惑メールとして扱われるリスクが高まっています。

チェックリストを参考に、まずは自社の配信体制の現状を確認し、必要に応じて改善に着手しましょう。