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List-Unsubscribeとは? RFC8058の仕様に従って実装するポイント

List-Unsubscribeの役割と実装方法を解説

Last Updated on 2025.10.7

2024年2月以降、Gmail宛にメールを送信する際のガイドラインが強化され、特に1日5000通以上Gmail宛に配信する送信者(=一括送信者)にはより厳しい送信者要件が課せられています。一括送信者向けの要件では、マーケティングメールの場合はメッセージにワンクリックの登録解除機能を搭載することが義務付けられています。そこで必要となるのがList-Unsubscribeというメールヘッダです。 本記事ではList-Unsubscribeの役割や実装方法などについて詳しく解説します。

お役立ち資料のダウンロードページへ移動(『Googleの新送信者要件対応ガイド』:新要件の確認方法や対応のポイント)

List-Unsubscribeとは

List-Unsubscribeとは、電子メールのヘッダに使用されるフィールドの1つで、メール受信者がマーケティングメールやメールマガジンの購読を簡単に解除できる仕組みです。

List-Unsubscribeヘッダを使用すると、メールクライアント上で送信元メールアドレスの右横に「メーリングリストの登録解除」リンクが表示されます。そして、受信者はワンクリックで購読を解除できるようになります。

ワンクリック購読解除ボタンが表示されているGmail受信メール画面のキャプチャ
Gmail上でワンクリック購読解除のボタンを押した際に表示されるダイアログ

List-Unsubscribeの設定が必要とされる背景

List-Unsubscribe の設定は法規制や、Gmail の送信者ガイドラインの新要件といった外部要因によって必須要件になりました。それぞれの詳細を見ていきましょう。

法規制

特定商取引法や特定電子メール法により、広告宣伝メールを送信する事業者には、受信者が購読を解除できるオプトアウト手段を設けることが義務付けられています。違反すると罰則の対象となるため、List-Unsubscribeなどを用いて確実に配信停止機能を提供し、法令を遵守しなければなりません。

オプトアウトについては以下の記事で詳しく解説しています。

オプトアウトとは?メール配信を始める前に押さえておきたいオプトアウトの重要性|ベアメール ブログ

Gmailの送信者ガイドラインの新要件 

Googleは2024年2月に、Gmail宛にメールを送信する際の要件を強化しました。特に1日5000通以上のメール送信者に対してはより厳しい要件が提示されています。

その送信者のガイドラインの中で、マーケティングメールの場合は、メッセージにList-Unsubscribeヘッダを使用したワンクリック登録解除機能を実装することが義務付けられています。もし対応できていない場合、迷惑メールとして分類されたり、受信を拒否されたりする恐れがあります。

以下がGoogleのガイドラインからの該当箇所の抜粋です。

マーケティング目的のメールと配信登録されたメールは、ワンクリックでの登録解除に対応し、メッセージ本文に登録解除のリンクをわかりやすく表示する必要があります。

ワンクリックでの登録解除を設定するには、送信メールに次の両方のヘッダーを含めます。
・List-Unsubscribe-Post: List-Unsubscribe=One-Click
・List-Unsubscribe: <https://solarmora.com/unsubscribe/example>

受信者がワンクリックで登録解除すると、次の POST リクエストが届きます。
“POST /unsubscribe/example HTTP/1.1
Host: solarmora.com
Content-Type: application/x-www-form-urlencoded
Content-Length: 26
List-Unsubscribe=One-Click”

引用元:Google Workspace管理者ヘルプ「メール送信者のガイドライン」https://support.google.com/a/answer/81126?hl=ja (2025/6/30 確認)

Gmail送信者ガイドライン:配信停止に関するよくある質問

Q. すべてのメールにワンクリック登録解除が必要? マーケティングメールとは?

A. ワンクリックでの登録解除が義務付けられるのはマーケティングやプロモーション関連のメールであり、ユーザの登録確認、パスワードの再設定、予約の通知といったトランザクションメールは対象外であると明言されています。

ただし、Google側がどのように「マーケティングメール」であるか判定するかは不明瞭なため、トランザクションメール以外の一斉配信するメールについてはワンクリックでの登録解除に対応しておいた方が安全でしょう。

Q. いつまでに対応する必要がある? 対応しなかった場合はどうなる?

A. Googleの新しい送信者ガイドラインは、2024年2月から段階的に適用され、2024年6月1日には全要件が本格適用されました。現在、List-Unsubscribeヘッダを用いたワンクリック登録解除機能がないマーケティングメールは、迷惑メールとして扱われる可能性が高くなっています。

Q. 配信停止のURLリンクが本文中にあるのではダメ?

A. ワンクリックでの登録解除は、List Unsubscribeヘッダを追加して実装する必要があります。メール本文にリンクを記載しているだけではワンクリック登録解除の要件を満たしたことにはなりません。

参考:Google Workspace 管理者ヘルプ「メール送信者のガイドラインに関するよくある質問」https://support.google.com/a/answer/14229414 (2025/7/29 確認)

その他のGmailの送信者ガイドラインについて詳しくはこちらの記事でも解説しています。
2024年2月以降Gmailに送信するための新要件とは? 新しい送信者ガイドラインへの対応策 | ベアメールブログ

List Unsubscribeを設定するメリット

メール受信者側

List-Unsubscribe の設定がない場合、受信者は配信停止用のリンクを探したり、場合によっては配信停止手続きのためにわざわざログインをしたり、メールアドレスを入力したり…と多くの手間がかかります。

List-Unsubscribeが実装されていれば、わかりやすい場所に登録解除ボタンが表示されるため、受信者は購読解除手続きに伴う煩雑さやストレスがなくなります。いつでも簡単に購読解除できる状態であるということは、受信者の利便性と安心感につながるでしょう。

メール送信者側

メール送信者側にとっては、受信者からの「スパム報告」を減らすことができるというのがList-Unsubscribeを実装する大きなメリットです。

前述の通り、メルマガの配信停止手続きは受信者からすると手間に感じるケースも多くあります。登録解除の方法が分かりにくかったり、操作が面倒だったりした場合、配信停止の代わりに「迷惑メールとして報告」されてしまう可能性が高まります。迷惑メールとして報告されると、送信者としてのレピュテーション(評価)に悪影響があり、自社からのメールが届きにくくなる恐れがあります。

List-Unsubscribeによって購読解除のプロセスを簡素化することは、迷惑メール報告のリスクを低減することに加え、配信リストの質やエンゲージメント率の向上といった送信者のメリットにもなるのです。

List-Unsubscribeの仕組み

List-Unsubscribeは次のような仕組みで機能します。

  1. List-Unsubscribeヘッダを追加したメールを送信します。
  2. 受信側のスパム判定をクリアして無事受信されると、受信者のメールクライアントがList-Unsubscribeヘッダを認識して、メールに購読解除ボタンを表示します。配信を停止したい受信者は購読解除ボタンをクリックします。
  3. 購読解除をクリックすると、メールクライアントが自動的に購読解除リクエストを送信し、送信者があらかじめ用意したサーバーでリクエストを受理します。
  4. リクエストを処理し、購読解除を希望した受信者を配信先リストから除外します。※配信先リストからの除外は48時間以内に行うことをGoogleは推奨
ワンクリック購読解除が機能する流れを説明した図

List-Unsubscribeの実装方法

List-Unsubscribeを実装する為には、List-Unsubscribeヘッダに指定の値を追加する必要があります。

List-Unsubscribeの指定オプションには「HTTPS」と「mailto」の2つがあります。

  • HTTPS:配信停止のリクエストを処理するためのURLを指定する
  • mailto:配信停止のリクエストをメールで送信するメールアドレスを指定する

以下にて、ヘッダの記述例をご紹介します。

➀シンプルなmailto形式の例

List-Unsubscribe: <mailto:unsubscribe@example.com>

➁複数の値を併記する例

List-Unsubscribe:
<mailto:request@example.com?subject=unsubscribe>,
<https://example.com/unsubscribe.html?opaque=123456789>
List-Unsubscribe-Post: List-Unsubscribe=One-Clic

②のパターンのように、List-Unsubscribeヘッダで指定する値を併記することで両方を同時に使用することも可能です。

ただし、RFC8058に従うのであればHTTPSは必ず指定する必要があります。

また実装のポイントにあったように、購読解除URLは受信者を特定するために対象サービスごと、宛先ごとにユニークなURLにする必要があります。そしてURLからは対象のメールアドレスやリストの情報が識別できないようにすることが望ましいです。実装後は登録解除機能が正しく動作するかテストを行いましょう。

RFC8058のList-Unsubscribeの仕様

GmailのガイドラインではList-UnsubscribeをRFC8058にしたがって実装するように指示されているため、RFC8058の内容から確認していきます。ここでは送信者が対応すべき内容の中心的な部分のみ引用し、ポイントをまとめます。

RFC8058:Signaling One-Click Functionality for List Email Headers
3.Implementation
3.1. Mail Senders
A mail sender that wishes to enable one-click unsubscriptions places one List-Unsubscribe header field and one List-Unsubscribe-Post header field in the message.
The List-Unsubscribe header field MUST contain one HTTPS URI.  It MAY contain other non-HTTP/S URIs such as MAILTO:.
The List-Unsubscribe-Post header MUST contain the single key/value pair “List-Unsubscribe=One-Click”.
As described below, the message MUST have a valid DomainKeys Identified Mail (DKIM) signature that covers at least the List-Unsubscribe and List-Unsubscribe-Post headers.

引用元:「RFC8058 Signaling One-Click Functionality for List Email Headers」https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc8058 (2025/6/30 確認)

翻訳:
RFC8058:リストメールヘッダのワンクリック通知機能
3.実装
3.1.
メール送信者ワンクリック・アンサブスクリプション(購読解除)を有効にしたいメール送信者は、メッセージ中に一つの List-Unsubscribe ヘッダフィールドと一つの List-Unsubscribe-Post ヘッダフィールドを置く。
List-Unsubscribe ヘッダは一つの HTTPS URI を含まなければならない[MUST]。
MAILTO:のような他の非HTTP/S URIを含んでもよい[MAY]。
List-Unsubscribe-Postヘッダは一つのkey/valueペア “List-Unsubscribe=One-Click” を含まなければならない[MUST]。
以下に述べるように、メッセージは少なくともList-Unsubscribeヘッダと List-Unsubscribe-Postヘッダをカバーする有効なDKIM(DomainKeys Identified Mail)署名を持たなければならない[MUST]。

RFC8058に対応する際に注意すべきポイント

引用していない部分含め、メール送信者がList-Unsubscribeを実装する際のポイントをまとめると以下となります。

  • 一つの List-Unsubscribe ヘッダフィールドと一つの List-Unsubscribe-Post ヘッダフィールドを置くこと。(MUST)
  • List-Unsubscribe ヘッダは一つの HTTPS URI を含むこと。(MUST)
  • List-Unsubscribe-Postヘッダは一つのkey/valueペア「List-Unsubscribe=One-Click」を含むこと。(MUST)
  • List-Unsubscribeヘッダと List-Unsubscribe-Postヘッダをカバーする有効なDKIM(DomainKeys Identified Mail)署名を行うこと。(MUST)
  • List-UnsubscribeとList-Unsubscribe-Postヘッダは、有効なDKIM-Signatureヘッダフィールドの「h=」タグに含むこと(MUST)
  • List-UnsubscribeヘッダのURIには、メール受信者とその受信者が削除されるリストを特定するために十分な情報を含ませること。(MUST)
  • List-UnsubscribeヘッダのURIは、購読者やリストの情報が外部から解読されないようにするべき。(SHOULD)
  • POSTリクエストにはcookie、HTTP認証、その他のコンテキスト情報は含ませない。(MUST NOT)
  • メール送信者はリクエストに対し、HTTPSリダイレクトを返してはならない(MUST NOT)
  • メール送信者は、List-Unsubscribe ヘッダで指定された URI への POST リクエストを受理し、配信停止リクエストを処理するためのサーバーを用意する必要がある。

RFC8058の内容を確認すると、List-Unsubscribeヘッダを追加するだけでなく、受信者を識別するためのURIや、DKIM署名、POST処理を行うサーバの用意などが必要であることがわかります。

主要メールクライアントでのList-Unsubscribeの対応状況

メールクライアントによって、List-Unsubscribeヘッダへの対応状況やサポート形式(mailto/https)が異なります。ここでは主要なクライアントごとの対応状況を整理します。

Gmail 

List-Unsubscribe:mailto/https 両対応

Gmailは、送信者ガイドラインの要件にもなっているように、List-Unsubscribeヘッダを積極的にサポートしています。SPFやDKIMなどの送信ドメイン認証が正しく設定され、かつ送信者の評価が一定以上の場合、自動的に「登録解除」リンクが差出人名の横に表示されます。

差出人名横に表示される「メーリングリストの登録解除」リンクをクリックした際に表示されるダイアログ

Microsoft Outlook

List-Unsubscribe:mailto/https 両対応

OutlookはList-Unsubscribeヘッダをサポートしており、Gmailと同様にhttps形式にも対応しています。

Microsoftは送信者向けのガイドラインの中でRFC8058への準拠については明示的に言及していませんが、明確で簡単な配信停止オプションの実装は要求しています。今後Gmailと同様に、List-Unsubscribeヘッダを用いた購読解除を要件とする可能性はあると考えられます。

Appleメール(iOS/Mac)

List-Unsubscribe:mailto /https 両対応

iOSやMac標準のメールアプリも、List-Unsubscribeヘッダに対応しています。List-Unsubscribeに対応しているメールを開封すると、1番上にバナーで「このメッセージはメーリングリストからです」というメッセージと「サブスクリプション登録解除」のリンクが表示されます。

Appleの公式サイトでList-Unsubscribeに関する記載は見つけられませんでしたが、RFC8058の仕様に従って実装していないメールには該当のバナーは表示されないため、List-Unsubscribeの仕組みを使用していると考えられます。

Appleメールでワンクリック購読解除に対応しているメールの例。画面上部に「サブスクリプション登録解除」リンクが表示されている様子のキャプチャ

Yahoo!メール 

List-Unsubscribe: mailto/https 両方対応

Yahoo!メールはList-Unsubscribeヘッダをサポートしています。Web版では、対応メールを開くと「購読解除」ボタンが表示され、クリック後の手続きで解除できます。

まとめ

2024年2月以降Gmail宛にメールを送信する際の要件が強化され、マーケティングメールの場合はメッセージにワンクリックでの登録解除機能を搭載することが義務付けられました。これを実現するために必要なヘッダ情報がList-Unsubscribeです。確実なメール配信を行うために、List-Unsubscribeの実装方法について理解し、適切な対応を行いましょう。ワンクリックでの登録解除機能に対応ができていない場合は、迷惑メールとして扱われる恐れもあるため、早急に対応するようにしましょう。