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2025.07.04 (金)
メール用語解説【エラーメッセージ別】メールエラーの原因と対策

メールを送信したのに相手に届かず、「MAILER-DAEMON」から謎の英文メールが返ってきた——そんな経験はありませんか? それは「バウンスメール」と呼ばれ、メールの配信に失敗したことを知らせる重要なサインです。
しかし、そこに書かれたエラーメッセージは「User unknown」「User is over quota」「Sender is unauthenticated」など英語や専門用語ばかりで、何が問題なのか分かりづらいことも。本記事では、よくあるメールエラーメッセージの意味と原因、そして対処法をわかりやすく解説します。メールのトラブルに直面したとき、すぐに参照できるガイドとしてぜひご活用ください。
目次
メールエラーとバウンスの仕組み
メールが届かなかった原因を探るうえで、まず理解しておきたいのが「バウンスメール(エラーメール)」と呼ばれる通知の仕組みです。
この章では、メール配信に失敗した際に返ってくるバウンスメールの役割や、そこに書かれているエラーの見方、さらにエラーの種類(ソフトバウンス/ハードバウンス)について解説します。
メールの配信エラーを知らせるバウンスメール
メールが送信されると、送信者のメールサーバーから宛先のメールサーバーに向けてデータが転送されます。この過程で何らかの問題が発生した場合、メールは正常に届けられず、送信側に「配信できなかった」という通知が返されます。これが「バウンスメール(エラーメール)」です。
送信者欄には多くの場合「MAILER-DAEMON」や「Mail Delivery Subsystem」などが表示され、これは送信元のメールサーバーが自動で送信したことを意味しています。
バウンスメールには、配信のステータスやエラーの内容、宛先の情報、送信日時などが記載されており、なぜメールが届かなかったのかを知るための重要な手がかりになります。
バウンスメールに書かれている「ステータスコード」と「エラーメッセージ」
バウンスメールには、SMTPサーバーが返答したステータスコードや、状況に関する技術的なメッセージが記載されています。多くの場合は英語で出力されますが、環境によっては日本語にローカライズされていることもあります。具体的には以下のような形式で表示されます。
- 550 5.1.1 User unknown
- 451 4.7.1 Temporary local problem – try again later
- 552 5.2.2 Mailbox full
エラーメッセージの前に記載されている数値がステータスコードです。特に3桁の数字の最初の1桁の値によって、次のように大別できます
コードの先頭 意味 解釈 4xx 一時的なエラー ソフトバウンスとも呼ばれる。時間をおいて再送すれば成功する可能性がある 5xx 恒久的なエラー ハードバウンスとも呼ばれる。再送しても配信されないため、なんらかの対応が必要
3桁のステータスコードの後ろの「5.1.1」などは拡張ステータスコードと呼ばれ、より細かい理由を示すのに使用されています。
このように、バウンスメールに記載されたエラーコードやエラーメッセージは、配信エラーの原因と対応方針を読み解くためのヒントになります。
バウンスメールのエラーコードの一覧と、詳細についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
メールのエラーコード(SMTPステータスコード)の意味と対策 | ベアメールブログ
エラーメッセージ別 メールエラーの原因と対策
主なメールエラーの原因と対策について、エラーメッセージの具体的な例を挙げながら、カテゴリ別に分類して解説します。
User unknown:宛先関連のエラー
宛先関連のエラーは、メールアドレスの誤りや、存在しないユーザ宛てに送った場合などに発生します。メールが届かない理由として最も多いカテゴリであり、アドレスの入力ミスや、既に削除されたアカウント宛に送信しているケースがほとんどです。
エラーメッセージの例
User unknown | 宛先ユーザが存在しない |
No such user here | |
User does not exist | |
Recipient not found | |
The email account that you tried to reach does not exist | |
Bad recipient address syntax | 不正な受信者アドレス |
The recipient address is not a valid RFC 5321 | |
Recipient address rejected: Access denied | 受信側の設定やポリシーにより拒否されている可能性 |
対策
- アドレスの綴りを再確認する
- 相手がメールアドレスを変更・削除していないか確認し、必要があれば新しいアドレスを取得する
- 配信リストを定期的にメンテナンスし、無効なアドレスは削除する
- 「Recipient address rejected: Access denied」の場合は、相手側のセキュリティポリシーやフィルタ設定の影響もあるため、他の連絡手段で確認を取ることも検討してください
Host unknown:ドメイン関連のエラー
このカテゴリのエラーは、宛先メールアドレスのドメイン部分(@以降)がDNS上で見つからない、あるいは無効になっている場合に発生します。原因としては、ドメイン名のタイプミス、既に廃止されたドメイン宛ての送信、あるいはDNSの障害などが考えられます。
エラーメッセージの例
Host or domain name not found. Name service error | DNS障害、または指定されたドメインがDNS上に存在しない |
Recipient domain not found | |
We weren’t able to find the recipient domain | |
DNS failure: domain does not exist |
対策
- ドメイン名(@以降)の綴りに誤りがないか確認(例:gmial.com などのスペルミス)
- 対象ドメインが有効であるか、WHOISやDNSルックアップで確認する
- MXレコードが正しく設定されていない場合、受信側のメールサーバーが存在しない扱いとなるため、相手のIT管理者に確認を依頼する
- ドメインが存在しない場合は、配信リストから削除する
Over quota:メールボックスの容量オーバー
メールボックス関連のエラーは、受信者側のメールボックスに原因がある場合に発生します。代表的なのは、受信者のメールボックスの使用量が上限を超えるケース(「受信箱がいっぱい」)や、一時的にメールボックスがロックされているなどの状況です。これらは送信者に問題があるわけではなく、宛先も存在しているため、一時的なエラー(ソフトバウンス)として扱われることも多いです。
エラーメッセージの例
Mailbox full | 受信者のメールボックスが容量オーバー |
Mailbox is over quota | |
The recipient’s inbox is out of storage space | |
User is over quota | |
This account is over quota | |
The email account that you tried to reach is over quota | |
Requested mail action aborted: exceeded storage allocation | |
Mailbox busy | 一時的に受信ボックスが使用できない |
対策
- 一時的な問題である可能性があるため、時間を置いて再送する(自動再送を行うシステムもあります)
- 相手に「メールボックスの容量がいっぱいではないか」などの確認する(別の連絡手段を使う)
Size exceed:メールサイズ・添付ファイル関連のエラー
このカテゴリのエラーは、送信メールのサイズが、送信者または受信者側のサーバーで設定された制限を超えている場合に発生します。送信時には通っても、受信側のサーバーで拒否されて返ってくることが多く、「送れたように見える」のに実は届いていない、というトラブルを引き起こします。
制限に引っかかるのは、主に添付ファイルのサイズが大きいときです。SMTPでは、添付ファイルがエンコード(base64)されるため、実際のファイルサイズよりもメール全体のサイズが約1.3倍に膨らむ点にも注意が必要です。
エラーメッセージの例
Message size exceeds fixed limit | メールのサイズが制限を超えている |
Your message exceeded Google’s message size limits | Googleのメールサイズ上限を超えている |
Requested mail action aborted: exceeded storage allocation | サーバーの割当容量を超過 |
Message size exceeds maximum allowed size | 受信側で設定された最大サイズを超過 |
対策
- 添付ファイルのサイズを確認し、10MB以下に収めるのが無難
- 画像やPDFなどの添付ファイルを圧縮(ZIP化)することでサイズを削減
- 大容量ファイル転送サービス(例:Googleドライブ、OneDrive、Dropbox等)を使い、URLで共有する方法に切り替える
- 自社のSMTPサーバーで制限がある場合は、管理者に相談して制限値を緩和できるか確認する
- 送信先によって許容サイズが異なるため、先方の制限値を事前に確認するのが理想です
主要メールサービスのメールサイズ制限や、メールサイズを抑える方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
メールサイズとは? 送信前にメールサイズを確認する方法、超過する場合の対策を解説 | ベアメールブログ
Server busy:一時的なシステム・接続エラー
このカテゴリは、受信側のメールサーバーやネットワークが一時的に利用できない・混雑している・応答が得られないといった、主に外部要因による一時的な失敗(ソフトバウンス)が該当します。多くの場合、時間をおいて再送すると解消するため、対処方法を誤ると不必要な修正を加えることになります。再送機能やリトライポリシーがポイントです。
エラーメッセージの例
Service not available | サービスが一時的に利用不可(サーバーの過負荷など) |
Server busy, try again later | 一時的に利用不可になっているため、後で再施行してください |
Resources temporarily unavailable. Please try again later | |
Temporary local problem – try again later | |
Temporary system problem | |
Connection timed out | 接続がタイムアウトした |
connection expired / timed out |
対策
- エラーコードの先頭が「4」である場合は「一時的なエラー」と判断し、時間をおいて再送する
- 自動再送を行っている場合は、リトライ回数・間隔の設定を見直す(送信間隔を適切に空ける)
- 同一ドメインに大量送信している場合は、送信レート制限に抵触している可能性があるため、送信量やペースを調整する
- エラーが長時間継続する場合、先方のメールサーバーに障害が発生している可能性があるため、受信者側に確認する
The sender is unauthenticated:送信ドメイン・認証関連のエラー
送信元ドメインの認証に失敗したことが原因で、メールが拒否されるケースです。近年では、なりすましやスパム対策の強化により、SPF・DKIM・DMARCといった送信ドメイン認証技術がより一層重視されるようになっています。これらの設定が正しくない、あるいは認証に失敗していると、不正なメールとみなされ拒否されることがあります。
エラーメッセージの例
This message was blocked because the sender is unauthenticated. Gmail requires all senders to authenticate with either SPF or DKIM. | 送信者が未認証のため、ブロックされた。Gmailでは、すべての送信者がSPFまたはDKIMで認証されている必要がある |
SPF Check Failed | SPF認証に失敗 |
This message was blocked because it didn’t pass SPF authentication | |
The message was rejected because of Sender Policy Framework violation | |
This message was blocked because it didn’t pass DKIM authentication | DKIM認証に失敗 |
This message was blocked because the sending domain doesn’t have a DMARC record or the DMARC record doesn’t specify a DMARC policy. | DMARCレコードの設定がないか、DMARCレコードにDMARCポリシーが指定されていない |
Access denied, sending domain does not pass DMARC verification | DMARC認証に失敗 |
対策
- SPF・DKIM・DMARCの設定が正しく行われているか確認する
- SPFレコードに送信元IPアドレスが含まれているか
- DKIM署名が正しく付与されており、DNS上の公開鍵と一致するか
- DMARCが設定されており、認証に合格しているか
- 独自ドメインを使用している場合は、SMTPサーバー・DNS設定の見直しが必要
- 外部のメール配信サービスを利用している場合は、提供元のドキュメントに従ってSPFやDKIMの設定を行う
SPF・DKIM・DMARCの確認・設定方法については、以下のブログをご参照ください。
SPF・DKIM設定の具体的な確認方法 | ベアメールブログ
DMARCレコードの書き方は? 設定・確認方法や設定例も解説 | ベアメールブログ
Your IP is listed in Spamhaus:ブラックリスト関連のエラー
このカテゴリのエラーは、送信元のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていることが原因でブロックされた場合に発生します。突然の大量送信や、スパムトラップへの配信、送信元認証の不備などが原因で登録されてしまうことがあります。ブラックリスト登録は、多くのメールサービスで受信拒否される原因となるので、このエラーが発生した場合には早急に解除申請を行いましょう。
エラーメッセージの例
Your IP is listed in Spamhaus … | Spamhausのブラックリストに登録されている |
Mail from IP [x.x.x.x] was rejected due to listing in Spamhaus … | |
Service unavailable, Client host [x.x.x.x] blocked using Spamhaus. | |
Service unavailable; Client host [x.x.x.x] blocked using bl.spamcop.net | SPAMCOPのブラックリストに登録されている |
Blocked – see https://support.proofpoint.com/dnsbl-lookup.cgi?ip= … | Proofpointのブラックリストに登録されている |
対策
- 送信元IPやドメインが該当のブラックリストに登録されているかチェックし、登録されていた場合は解除申請を行う
- SPF・DKIM・DMARCの設定が適切にされているか確認する
- 配信リストにスパムトラップ*が含まれている恐れがあるので、宛先不明エラーとなるアドレスを削除する
- 共有サーバーを使っている場合は、他のユーザーの送信が影響している可能性もあるため、専用IPの利用や、信頼性の高いメールリレーサービスの利用を検討する
*スパムトラップ:迷惑メール配信を行うスパマーを炙り出すために用意された、実際には使用されていないアドレス。スパムトラップ宛にメールを送信するとブラックリストに登録されてしまう。
ブラックリストに登録される理由や、対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ブラックリスト登録されたメールの確認・解除方法について | ベアメールブログ
Spamhausの解除申請をするには? ブラックリスト掲載を防ぐベストプラクティスも解説 | ベアメールブログ
Local policy:送信者の信頼性・ポリシー違反による拒否
このカテゴリのエラーは、送信元IPやドメインの評判が低い、または受信側のセキュリティポリシーに違反していると判断され、メールがブロック・拒否された場合に発生します。
GmailやOutlook、iCloudなどの主要サービスでは、2025年現在、特に厳しい送信者ガイドラインが導入されているため、意図せぬガイドライン違反でメールが届かなくなってしまうケースも散見されます。各種ガイドラインへの適用状況や、IPアドレスのレピュテーション、そしてスパム扱いされかねない内容を送信していないかどうか、自社のメール送信について見直しが必要です。
エラーメッセージの例
Message rejected due to local policy | 受信側のローカルポリシーにより、メッセージが拒否された |
Messages from [IP address] temporarily deferred due to user complaints | ユーザーからの苦情により、この送信元IPからのメールは一時的に保留された |
This message was blocked because its content presents a potential security issue. | コンテンツにセキュリティ上の問題が潜んでいる可能性があるため、ブロックされた |
This message is likely suspicious due to the very low reputation of the sending IP address. | 送信元IPアドレスのレピュテーションが低い |
This message is likely suspicious due to the very low reputation of the sending domain. | 送信元ドメインのレピュテーションが低い |
This message is likely unsolicited email. To reduce the amount of spam sent to Gmail, this message has been blocked. | 迷惑メールの可能性があるためブロックされた |
Access denied, bad outbound sender | スパムの送信が多すぎるため、ブロックされた |
Access denied, spam abuse detected | スパム行為が検出されたためブロックされた |
Access denied, banned sender | 受信拒否リストに登録されている |
Access denied, banned sending IP [x.x.x.x] | 送信元IPアドレスのレピュテーションが低い |
Message not allowed – Email not accepted for policy reasons. | セキュリティ上受け取れない内容が含まれている |
Message rejected due to local policy. Please visit https://support.apple.com/en-us/HT204137 | Apple(iCloud)の送信者ガイドラインに違反している |
対策
- 送信元IPやドメインのレピュテーション(評判)を確認する
- Sender Score(https://senderscore.org/)、Google Postmaster Tools(https://postmaster.google.com/u/0/managedomains)などを活用
- IPのレピュテーションが低い場合は、他のIPに切り替えるか、ウォームアップを行う
- GmailやMicrosoft、Appleの送信者ガイドラインに準拠する
- 共有IP環境の場合は、専用IPに切り替えることも検討
必要に応じて、以下のブログ記事もご参照ください。
▼ レピュテーション関連
IPレピュテーションとドメインレピュテーションとは? レピュテーション向上のポイントを解説 | ベアメールブログ
IPウォームアップとは? IPレピュテーションを向上させるためのポイントと具体的な手順 | ベアメールブログ
▼ ガイドライン関連
2024年2月以降Gmailに送信するための新要件とは? 新しい送信者ガイドラインへの対応策 | ベアメールブログ
2025年5月5日施行:Outlook宛て大量メール送信者向け新要件とその対応方法 | ベアメールブログ
▼ スパム判定関連
迷惑メールだと判定されてしまう理由とは? スパム判定のチェックポイントと回避方法を解説 | ベアメールブログ
メールエラー対策に役立つおすすめツール
「自社の送信メールに最近エラーが多い」「エラーの改善方法がわからない」「そもそもバウンスを受け取れず、エラーの有無や内容を確認できない」など、メールエラーの対応にも課題をお持ちの企業も多いかもしれません。
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- テストメールを配信することで、そのメールに問題がないか多角的に診断
- 送信ドメイン認証、ブラックリスト登録など、問題点を可視化
- 問題点の具体的な改善方法も解説
- DMARC分析機能で、自社のメール送信の全体像を把握
- 専門のスタッフによる到達率改善のサポート
メール配信に関するお困りごとがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
メールのエラーメッセージには、エラー解消のための参考となる情報が書かれています。バウンスが返ってきた場合は必ずエラーメッセージを確認し、内容に応じた対策を講じましょう。「User Unknown」など、宛先不明のエラーを放置していると、ブラックリストに登録されたりレピュテーションが低下したりする要因にもなりかねません。メールエラーに適切に対応することで、健全なメール配信環境を維持しましょう。