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2021.07.14 (水)
メールが届かない送ったメールが迷惑メールに入ってしまうのはなぜ? 原因と対策のすべて

Last Updated on 2025.03.27
送ったメールが相手の迷惑メールフォルダに入ってしまう、迷惑メールになってしまう原因は複数考えられるため、原因に応じた対策が必要です。ここでは、迷惑メールになってしまう原因と対策、そしてGmailやiCloud、Outlookなど、主要メールサービスプロバイダ別のポイントを解説します。また、迷惑メールになる可能性を事前にチェックできるソリューションも紹介します。
目次
迷惑メールになってしまう原因と対策
まず、迷惑メール判定を受ける原因として考えられる事柄を整理しながら、それぞれの対応策について解説します。
送信ドメイン認証の不備
送信ドメイン認証とは、送信者の正当性を確認するための技術で、「SPF」や「DKIM」などが代表的です。送信ドメイン認証を設定していないと、第三者のドメインを詐称する「なりすましメール」であると疑われ、迷惑メール扱いされる可能性が高まります。
最近では、SPFやDKIMに加えて「DMARC」の認証を重視するメールサービスプロバイダも増えています。例えばdocomoでは2024年10月から、DMARCを設定していないメールになりすましメールの警告を表示するようになっています。
以前はSPFだけで問題なかったかもしれませんが、最近ではDKIMやDMARCまで対応しないと届かないケースが増えています。自社のメールが送信ドメイン認証に対応できているか確認しましょう。
SPF・DKIMについて詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
なりすましメール対策「SPF」「DKIM」の具体的な確認方法|ベアメールブログ
DMARCの設定方法についてはこちらで詳しく解説しています。
DMARCレコードの書き方は? 設定・確認方法や設定例も解説 | ベアメールブログ
ブラックリストに掲載されている
送信元のIPアドレスやドメインがブラックリストへ登録されることも、迷惑メールになってしまう原因のひとつです。メールのブラックリストサービスは、スパムメールや不正なコンテンツを配信しているIPアドレスやドメインを収集し、リストとして共有するサービスです。世界中のメールサービスで、メールの送信元の信頼性を照会するために使用されています。
以下は、よく使われるブラックリストサービスです。
- Spamhaus :https://www.spamhaus.org/
- SpamCop :https://www.spamcop.net/bl.shtml
- Barracuda Reputation Block List :https://www.barracudacentral.org/lookups
一括で複数のブラックリストへの掲載をチェックできるWebサービスもあります。
MX toolbox「Email Blacklist Check – IP Blacklist Check – See if your server is blacklisted」https://mxtoolbox.com/blacklists.aspx
自社のIPアドレスやドメインが登録されていないかチェックし、もし登録されているようであれば解除申請を行いましょう。
ブラックリストの解除申請の方法は、サービスごとに異なります。この記事では、ブラックリストの中でも特に影響力の強いSpamhausの解除申請方法を紹介しています。
Spamhausの解除申請をするには? ブラックリスト掲載を防ぐベストプラクティスも解説 | ベアメールブログ
送信元IPアドレスの信頼性が低い
メールの送信元IPアドレスの「信頼性が低い」ほど、迷惑メールと判定されやすくなります。この信頼性は「IPレピュテーション」と呼ばれ、そのIPアドレスからの送信実績をもとにスコアとして算出したものです。一般的にIPレピュテーションのスコアが低いと、迷惑メールとして振り分けられたり、送信制限や受信拒否の対象とされやすくなります。
以下のサイトでIPやドメインのレピュテーションスコアを確認することができます。
- SenderScore.org :https://senderscore.org
SenderScoreは、アメリカのValidity,Inc.が提供するIPレピュテーションをスコア化するサービスです。IPアドレス・ドメインを入力すると、IPレピュテーションスコアが100点満点で表示されます。 - TalosIntelligence.com :https://talosintelligence.com
世界最大手のネットワーク機器ベンダー「Cisco社」が運営するWebサービス。スコアは「Good(問題ない状態)」「Neutral(使用できるが問題が発生する可能性あり)」「Poor(スコアが低くフィルタリングやブロックの可能性が高い)」の3段階で評価されます。
IPレピュテーションを向上させるためには、迷惑メールと判定されないように気をつけた上で、安定した量のメールを送信し続ける必要があります。
IPレピュテーションを向上させる具体的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
IPウォームアップとは? IPレピュテーションを向上させるためのポイントと具体的な手順 | ベアメールブログ
送信量が多すぎる、送信ペースが速すぎる
ISPやキャリアは迷惑メール対策として、一定時間内に受け取れるメール量に制限を設けている場合が多いです。この基準を大幅に超えるペースでメール送信を行うと、スパマーだと誤解されブロックされてしまう可能性があります。
このような一時的な受信制限を「IPスロットリング」と呼びます。一般的には時間の経過とともに解除されるものの、制限期間内はメールのほとんどが届かなくなります。制限を超えないよう、大量のメールを一斉に送信するのではなく、小分けにして少しずつ送ることをおすすめします。
またIPスロットリングは、IPレピュテーションが低い場合に起きやすいと言われています。送信に利用するIPアドレスのレピュテーションを確認し、低い場合はウォームアップを行いましょう。
IPスロットリングについては、下記記事も参考にしてみてください。
メールが届かない!「IPスロットリング」の原因・回避方法とは?|ベアメールブログ
DNSの設定に不備がある
受信側がメールの送信者の信頼性を判断する上で、DNS設定も送信者の身元確認に重要な役割を果たしています。DNS設定に不備があると、怪しい送信者として迷惑メール扱いされる可能性が高まります。
メールを届けるために重要なレコードは以下のとおりです。
- 送信元SMTPサーバのIPアドレスのPTRレコード
- 送信元SMTPサーバのホスト名のAレコード
- エンベロープFromとヘッダFromのドメインのAレコード
- エンベロープFromとヘッダFromのドメインのMXレコード
DNS設定の注意点と確認方法はこちらの記事でまとめて解説しています。
迷惑メールに判定されないために注意したいDNS設定とは? Part2 | ベアメールブログ
送信者向けガイドラインに違反している
メールの送信先がGmailやYahoo!メールといったフリーメールの場合、そのメールサービスプロバイダの「ガイドライン」に違反していると、迷惑メールになってしまう可能性があります。
特にGmailでは2024年2月に「メール送信者のガイドライン」に大きな改訂を行い、1日5,000通以上配信したことのある送信者に対しては、DMARC認証やワンクリックでの登録解除機能の実装など、従来に比べてかなり厳しい要件を課しています。
その他、iCloudやMicrosoftなども同様に送信者に対するガイドラインを公開しています。どのガイドラインも、送信ドメイン認証やDNSの設定、メールフォーマットの規定など共通する内容が多いですが、特定の宛先に届かない場合はそのプロバイダのガイドラインを確認してみても良いでしょう。
Gmailの送信者ガイドラインについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
2024年2月以降Gmailに送信するための新要件とは? 新しい送信者ガイドラインへの対応策 | ベアメールブログ
宛先不明などの配信エラーが多い
スパマーは不正な手段で入手したリストに対し大量配信を行なっているため、メール配信のエラー率は高くなります。そのため、宛先不明などのエラーとなったアドレスを削除せず、エラー率が高い状態で送信し続けると、スパマーと疑われIPレピュテーションが下がる原因となります。
エラー率の目安としては諸説ありますが、5%未満に抑えることが望ましく、理想的には2%未満を目指すのが良いでしょう。
エラー率を抑えるためには、メールリストの定期的なクリーニングが効果的です。リストクリーニングの具体的な方法は、こちらの記事で解説しています。
メールのリストクリーニングとは? 具体的な実施方法、宛先リストの品質を保つポイントを解説 | ベアメールブログ
NGワード(迷惑メールで使われる表現)を使っている
メールサービスプロバイダや携帯キャリアは、過去に迷惑メールと判定されたメールや、フィッシング詐欺のメールなどの傾向から、類似した内容のメールをフィルタリングします。つまり、迷惑メールによく使われるキーワードや表現が含まれる場合は迷惑メールとして判定されやすくなるのです。
具体的には以下のような表現は迷惑メールになりやすいので、注意が必要です。
- 金銭や利益を強調する表現:
「今すぐ稼ぐ方法」「無料で100万円もらえる」「誰でも簡単に稼げる」など - 緊急性を煽る表現:
「至急:未払いの請求があります」「緊急!セキュリティの問題が検出されました」「24時間以内に対応しないとアカウントが停止されます」 - 過剰なプロモーション表現
「大人気商品が今だけ半額!」「今すぐクリックしてボーナスをゲット」「100%無料」 - 記号や装飾の多用
「✨✨特別オファー✨✨」「💰無料でゲット💰」「!!!今すぐチェック!!!」 - 怪しいフォーマット
文字サイズや色を過度に変更する、改行を極端に増やす、隠しテキストを使うなど
本文内のURLリンクに問題がある
NGワードと同様の理由で、本文内のURLリンクに問題がある場合も迷惑メールになりやすいです。以下の点に該当しないか確認しましょう。
- URLのドメインがブラックリストに掲載されている
- Webサイトにアクセスできない
- HTTPSを使用していない
- 複数回リダイレクトする
- 短縮URLを利用している
- 大量のURLが含まれている
URLに関する注意点については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メールにURLを記載するときの注意点とは? 迷惑メールと誤判定される意外な落とし穴 | ベアメールブログ
オプトアウト(購読解除)の記載がない
オプトアウトとは、受信者がメールの受け取りを拒否することです。メールを配信する際には、受信拒否の意思を伝えるためのオプトアウトの方法や、配信者の連絡先を記載することが法的に義務付けられています。購読解除申請用のURLなど、オプトアウトの記載がない場合は迷惑メールと判定される可能性も高まります。
オプトアウトの記載がないと、受信者が購読解除の代わりに「迷惑メールとして報告」「送信者をブロック」する可能性も上がります。スパム報告を受けてしまうとレピュテーションにも悪影響となるため、必ず購読解除URLは記載するようにしましょう。
迷惑メールに入ってしまうのを防ぐ! 主要プロバイダ別ポイント
この章では、特定のプロバイダにだけ届きにくい、迷惑メールになってしまうという場合に、追加でチェックしたいプロバイダ別のポイントを解説します。
Gmailで迷惑メールになってしまう
Gmail宛のメールが迷惑メールになってしまう場合、2024年2月に改定された送信者ガイドラインへ違反してしまっている可能性があります。特に1日5000通以上Gmailに送信したことのある送信者は、要件がより厳しくなっているため注意が必要です。
すべての送信者に対する要件 1日5000通以上の送信者に対する要件 SPFまたはDKIMの設定 SPFおよびDKIMの設定 有効な正引きおよび逆引きDNSレコードの設定 有効な正引きおよび逆引きDNSレコードの設定 メール送信にTLS接続を使用 メール送信にTLS接続を使用 迷惑メール率を0.3%未満に維持 迷惑メール率を0.3%未満に維持 メッセージ形式はInternet Message Format標準に準拠 メッセージ形式はInternet Message Format標準に準拠 ヘッダFromをGmailになりすまさない ヘッダFromをGmailになりすまさない (定期的に転送を行う場合)ARCヘッダとList-idヘッダを追加 (定期的に転送を行う場合)ARCヘッダとList-idヘッダを追加 DMARCの設定 DMARCアライメントの合格 (マーケティングメールの場合)メッセージにワンクリックの登録解除機能を搭載
Gmailにメールが届かない場合の改善ポイントについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
Gmailにメールが届かない!Gmailへの到達率改善のヒント | ベアメールブログ
iCloudで迷惑メールになってしまう
iCloud宛のメールが迷惑メールになってしまう場合、Appleが公開している一括送信者向けのガイドラインに違反しているかもしれません。2025年2月に更新されており、「DMARCポリシーの公開」「ARCヘッダの記載(推奨)」が新たに追加されました。DMARCが必須となっているため、未対応の場合は対応が必要です。
参考: Apple サポート「iCloudメールのpostmaster情報」https://support.apple.com/ja-jp/102322
その他、iCloud宛の送信についての注意事項はこちらで詳しく解説しています。
【2025年最新】iCloudにメールが届かない!原因と、iCloudへの到達率を改善する方法 | ベアメールブログ
Outlook・Hotmailで迷惑メールになってしまう
OutlookやHotmail宛のメールが迷惑メールになってしまう場合、代表的な問題点として以下が考えられます。
- SPFやSender IDによる認証がない
- 送信元のIPレピュテーションが低い
- DNSの逆引き(PTRレコード)の設定がない
- 受信者から苦情が出ている
- メール本文のURLリンクに問題がある
Microsoftもガイドラインを公開しているため、Outlookのポリシーやトラブルシューティングも確認してみてください。
参考:Outlook.com Postmaster「ポリシー、プラクティス、およびガイドラインhttps://sendersupport.olc.protection.outlook.com/pm/policies.aspx
参考:Outlook.com Postmaster「トラブルシューティング」
https://sendersupport.olc.protection.outlook.com/pm/troubleshooting.aspx
また、Microsoftは独自のブロックリストを保有しており、送信元IPやドメインがブロックリストに登録されてしまうと、迷惑メールフォルダにも入らずブロックされてしまいます。
Microsoftのブロックリストの解除申請方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
OutlookやHotmail宛にメールが届かない! Microsoftのブロックリストの解除申請方法 | ベアメールブログ
Yahoo!で迷惑メールになってしまう
Yahoo!メール宛に届かない理由としては、最近進められた送信ドメイン認証の強化や、Yahoo!独自の迷惑メール判定基準が考えられます。
Yahoo!メールは2024年12月に、迷惑メール対策の一環として「SPF・DKIM・DMARCの認証がないメールは迷惑メール判定される可能性がある」と発表しました。そのため、DMARC認証の導入、判定をクリアできていない場合迷惑メールになってしまう可能性があります。
その他Yahoo!メール独自の基準など、詳しくは以下の記事で解説しています。
Yahoo!メールに届かない原因とは? 送信者は必ずチェックしたい改善策 | ベアメールブログ
docomoで迷惑メールになってしまう
docomo宛のメールが迷惑メール扱いされてしまう要因としては、以下が考えられます。
- IPアドレスやドメインがブラックリストに登録されている
- 送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)に不備がある
- 受信者に迷惑メールとして通報された
- ネットスター社のURLリストで、フィルタリング対象となっている
また、docomoも迷惑メール対策を強化しており、2024年10月以降、DMARC認証に合格していないメール(未導入、または認証失敗)はなりすましメールの警告が表示されます。DMARC未対応の場合は、至急対応を行うようにしましょう。
また、これまで迷惑メールフォルダはセキュリティ対策サービスを契約しているユーザのみ確認できたが、2025年2月以降全ユーザが迷惑メールフォルダを確認できるようになりました。以前はdocomoに迷惑メール判定されると受信者にメールは届きませんでしたが、今後は迷惑メールフォルダを確認してもらうことで見つかる可能性はあるかもしれません。
docomo宛にメールが届かない原因や、ユーザが利用できる迷惑メール対策についてこちらで詳しく解説しています。
メールが届かない原因はどこにある? ~docomo編~ | ベアメールブログ
Softbankで迷惑メールになってしまう
Softbank宛のメールが迷惑メールになってしまう場合は、以下の点に注意してみましょう。
- IPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていないか
- 送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)に不備がないか
- 受信者に迷惑メールとして通報されていないか
Softbankも2024年4月以降、メールの認証にDMARCを導入しており、ユーザが「なりすましメールの拒否」機能を有効している場合、DMARC認証に失敗したメール(DMARCが設定されたドメインに差出人を偽装したメール)が拒否されるようになっています。
Softbank宛にメールが届かない原因や、ユーザが利用できる迷惑メール対策についてはこちらで詳しく解説しています。
メールが届かない原因はどこにある? ~SoftBank編~ | ベアメールブログ
auで迷惑メールになってしまう
au宛のメールが迷惑メールになってしまう場合は、以下の点に注意してみましょう。
- IPアドレスやドメインがブラックリストに登録されていないか
- 送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)に不備がないか
- 受信者に迷惑メールとして通報されていないか
auも2023年10月以降、DKIM・DMARCによる認証やBIMIの表示に対応しています。ユーザが「迷惑メールおまかせ規制」機能を有効にしている場合、DKIMやDMARCの認証失敗が迷惑メール判定の要因となり得ると考えられます。
au宛にメールが届かない原因や、ユーザが利用できる迷惑メール対策についてはこちらで詳しく解説しています。
メールが届かない原因はどこにある? ~au編~ | ベアメールブログ
迷惑メールになってしまう原因を簡単チェック
本記事で解説したとおり、迷惑メールとして判定される理由には複数の要因が考えられ、一つ一つ調査するには膨大な手間がかかります。
「迷惑メールスコアリング」なら、この記事で紹介したような、迷惑メールに判定される様々な要因について多角的なチェックが可能です。テストメールを送信するだけで、迷惑メールとして判定される可能性・問題点・改善策まで確認できます。GmailやiCloud、Outlook、Yahoo!などの主要なメールサービスへの到達度チェックも可能です。
デモや無料トライアルも可能ですので、自社のメールが迷惑メールと判定されてお困りの方はお気軽にご相談ください。
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デモも可能ですので、自社のメールが迷惑メールと判定されてお困りの方はお気軽にご相談ください。
まとめ
ここでは、迷惑メールと判定される原因と対策を網羅的に紹介してきました。冒頭でも紹介したように、迷惑メール判定の原因はひとつではありません。したがって、常に複数の原因に対処できるような運用がおすすめです。メールが届かない原因や対応策がわからずお困りの方は、まずは「迷惑メールスコアリング」でチェックしてみてはいかがでしょうか。